謁見を終えてスタスタと昔は良く歩いていた昔の自分の部屋まで歩く。
今は一人。
小十郎は義姫様や他の重臣の人たちと話をしに行った。本当は私も行かなくては行けないが・・・今は行く気にはなれなかった。

こんな私情で動いてはいけないが・・・まだ・・・落ち着けないから・・・


『・・・あの木・・・』


でも、ふと目に入ったのは私が天珠を拾った樹。あのときよりも少し大きくなっていた。
懐かしい気持ちであのときのようにはだしで地面に降りる。あの時は雨が降っていたけれど今は降っていないでも、ずっとずっと心は重いけれど・・・。


『天珠・・・お前は仲間の下にいけたのか?』


私の元に縛り付けてしまったけれど・・・今は空を飛び回っているだろうか・・燕は生まれたところに再び巣を作りに来ると聞いたけど。


「梵天丸さま?」
『え?』



聞こえた声に振り返る。
通路、そこに居たのはその人


『喜多・・・?』
「っあぁ、梵天丸様!!」


私のことを一人にしないようにと、一緒にいた人。パサリともっていたタオルやら着物やらを落としてそしてフラフラとはだしのまま私のように地面に降りた。固まっている私をよそにそのまま、喜多はそのまま私へと飛びついた。
まだ私のほうが少々小さいが・・・


「こんなに大きくなられて・・・っ喜多はうれしゅうございますっ」
『喜多、ありがとう。』
「っもったいなきお言葉・・・あの頃よりもお美しくなられて・・・」


でも、私の第二の母だから・・・こんなにも嬉しくなる。
頭が撫でられて温かい気持ちにもなる。


『何言ってんだよ。俺は女じゃねぇってのに、美しいなんていうんじゃねぇ』
「っ梵様・・・」
『Non、今は政宗。伊達藤次郎政宗だ。よく覚えとけ、YouSee?』


でも、もう女じゃない。男として元服したから仕方が無い。
生物学上の問題になったら女としか良いようがないが



執筆日 20130616



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