『綱!』
「おやおや、そんなに走ってきてどうしたのですか?」


半ば走るように綱-鬼庭綱元-の元に近づく。俺が政宗になってからすでに2年がたち、今日は時が元服を迎える。
多分だが、一つ下の従兄弟…ということは彼の名は伊達成実だろう。私にとっては時のままなのに、時間って言うのはやっぱり残酷だ。


「あぁ、今日は時宗丸の元服式でしたね。」
『小十郎はそっちに行ってるから暇なんだよ。』


相手して、と綱の背中にへばりつく。そうすれば「おやおや」と苦笑いしながら私の手に本を読んでいた綱の手が触れた。

やっぱり、まだ私は子供体温なのだろうか。それは少々残念だが、冷たくて気持ちがいい。


『綱、綱』
「なんですか?政宗様。」
『寂しい。』


でも、やっぱり天珠も小十郎も居ないと酷く心が寂しい。なんて13になるのに何言ってんだよって思われるかもしれないけど…第一に縁談も断わってるし…

っていうか13で縁談とか、早いと思うが、充分行き遅れ。それでもいいんだ、結婚しなくても、養子をとりゃいい。


「では、ちょっと城下に行きましょうか。」
『城下?』
「はい。二人で逢引でもしましょうか」
『Fum、Dateってこと?』
「そのでぇとというのはわかりませぬが、」
『行く!』


でも、少しぐらい執務から逃げ出してもいいよな
だってたまには外に出たい


それに、治安も気になるんだ





執筆日 20130423



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