長かった髪を切った。そりゃもうバッサリ。
肩ほどの長さにしたが、まぁ女とも男とも取れる長さにしただけだ。
「女」としての幸せは、もう充分。今の私には必要ない。

元々、あの日に私は出て行ったのだ。だから、「女の私」はあの時の野党に攫われて、小十郎に殺してもらった。
だからここに居るのは、女の私ではなくて、また別のもの。


『小十郎、よろしく頼む。』
「手加減は…」
『Ha、させねぇよ!』
「はい、存じております。」


右目を覆うのは、包帯ではなくて、黒い眼帯に変えた。
最近の日課と言えば、小十郎と刀を交えること。無論、真剣ではなく刃を潰したものや木刀だ。けれど、俺を鍛えてくれている。だから、俺は小十郎を信じてる。

強くなりたい。だから、小十郎は俺の師だ。師であり、そして私の家族だ。


『小十郎、俺に婆娑羅の使い方、教えろ』
「! 梵天丸様」
『力があるなら、俺は使う。誰かを助ける為に、俺は強くなる。』


誰よりも、誰よりも、強くなる。
そして、奥州を、今の日ノ本のどこよりも平和な国にしたい。
どんなに俺の手が赤に塗れてしまおうと構わない


天下統一。

できれば、あの最期は回避したい。別に歴史を変えたいわけじゃないが、でも、みんなが笑って暮らせる日ノ本


「俺は甘くありませんぞ。」
『勿論、Okだ。』
「・・・わかりました。」


スッと木刀を構える小十郎。バチバチっとその刀から雷が現れる。
あの時は怖くて直視できなかったが今見れば、まぶしい。


「手加減はいたしません。
『上等! Let's practise!』


俺にも、同じ力があるなんて、驚きだが
本来恐れられる雷を、暴風のなか、導きの光として変えられたどんなにいいか。

私が目指すのは、間違いなくそこだ。
私にとっての亜の光が、救いの光だったように。



執筆日 20130408



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