日の出前の空
『ゲホ…』
ボロボロの身体を引きずって、まだ夜もあけきらない薄暗い道を歩く。川に飛び込んで濡れた身体は冷えきって本当最悪だ。
早くシップでも何でも張って動けるようにならねぇと…
『(明日は…全国から有力なテニスプレイヤーが来る…っ)』
あいつらが狙わない?んなわけねぇだろ・・・、
絶対に何かしでかすに決まってる…
その前に…俺が…俺が止めなくちゃ…
水の中で、必死に手を伸ばす。
伸ばして、伸ばすが・・・あいつには絶対に手が届かない。
深い深い水のそこで、ただ、波に揺られて虚無な目ではるか遠くにある水面を見上げるだけ。そんなあいつの手を引いて、水面を目指すことも…どうすることも…俺は出来なかった…
…今度こそは…
『っこれ以上・・・』
お前の手を離してたまるもんか・・・
日の出前の空
《この後、数時間後に起こる悲劇を、俺は・・・》
《数時間後に訪れるメシアを・・・》
《ただ、待っていたのかもしれない》
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