日の出前の空

『ゲホ…』


ボロボロの身体を引きずって、まだ夜もあけきらない薄暗い道を歩く。川に飛び込んで濡れた身体は冷えきって本当最悪だ。
早くシップでも何でも張って動けるようにならねぇと…


『(明日は…全国から有力なテニスプレイヤーが来る…っ)』


あいつらが狙わない?んなわけねぇだろ・・・、
絶対に何かしでかすに決まってる…

その前に…俺が…俺が止めなくちゃ…



水の中で、必死に手を伸ばす。
伸ばして、伸ばすが・・・あいつには絶対に手が届かない。

深い深い水のそこで、ただ、波に揺られて虚無な目ではるか遠くにある水面を見上げるだけ。そんなあいつの手を引いて、水面を目指すことも…どうすることも…俺は出来なかった…


…今度こそは…


『っこれ以上・・・』


お前の手を離してたまるもんか・・・






《この後、数時間後に起こる悲劇を、俺は・・・》
《数時間後に訪れるメシアを・・・》
《ただ、待っていたのかもしれない》




[ 2/12 ]

[*prev] [next#]
[もどる]
[しおりを挟む]
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -