雨の降る夜



静かに雨が降る音を耳にしながら石畳の道を駆け抜けていく。
遠くで、チャイムが鳴った。学校のチャイムのような音。

それに多少のイラつきを感じたが、目の前からも走ってくる追っ手に、一度身を低くし、わき道へとそれる。

それから路地に放置されているゴミ箱を転がし、そしてそのまま走る。
後ろで何人かの悲鳴が聞こえたか、それに心の中で笑ってやる。


『は・・はぁ・・・っ』



後ろからの気配がないのを確認して、壁に寄り掛かる。あいつら、しつこい・・・

持ち物は片手にラケットだけだ。

それに、ここはもう、大通り。さすがにあいつ等はここじゃ手は出さない

そう思って、気をついてたからいけなかった。


キィイン…


『!!』


後ろから聞こえる、「あれ」の独特の音。
急いでラケットで防御するが、そんなの意味がなく、ガットを貫き、それは俺の肩に当たる。


『っぅぐっ!!』


何度当てられても、慣れない。
この痛みには…


どしゃっと、アスファルトに放り出される。
右肩を、打った痛みがで左手に押さえまま、小走りで進むが、運悪く、目の前は、河。


『っチ』


後ろにした、河、右も左も・・・前も・・・追っ手に囲まれて、逃げ道はない。

街灯に照らされたあいつ等の指に輝くのは俺がまだつけているリングと同じものだ。


『あ・・』


だけど、ふっと感じた気配に、振り返る、
あぁ、そうか、アイツも・・・来たんだな・・・


「ここまでだ」


そして、言われた言葉に、まだ、終われないと思った。あぁ、そうさ。


まだ、終るわけには行かない。


『っらぁ!!』


タンッと、地を蹴って後ろを流れる河へと飛び込んだ。






《俺は、アイツを助けたい。》
《もう一度。もう一度》
《お前と・・・》


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