6 / 7 ごひきめ 淡いピンクのチェニックワンピ 首から提げるのは大きいハートのペンダント。 髪の毛はシフォンストレートでいつもより髪の毛の跳ねを気にしてみた。鞄は動きやすいように肩から下げるポシェット。 『♪〜』 丸井君が喜んでくれれば嬉しいなーってちょっと気合を入れてみて、駅前のベンチに座りながらオレンジ色のスマホをいじってまつ。時計を見れば待ち合わせ時間まで後10分ぐらい。 待ち受けは前に制服で取ったプリクラの写真。丸井君の字で「天才的だろぃ?」って書いてあって私の字で「天才的だC!」って書いてある。本当に笑顔できれいにとれてて嬉しかったはやくこないかなぁ…。ね、5匹目の羊さん! *** *** *** 「ゆめ!?」 それからすぐに彼の声は聞こえた。 キョトンとしてその声の方向を見れば走ってくる丸井君の姿があって、私のほうも首をかしげてしまった。 『まだ待ち合わせ10分前だよ?』 「それはこっちのセリフだろぃ!」 そのままそう聞けば丸井君はそう言ってはぁっと重いため息をついた。 綺麗な丸井君の赤い髪が若干乱れてしまっていて、多分私を見つけて慌てて走ってきてくれたんだろうなって思う。 本当に待ち合わせ時間の前だからそこまで気にすることじゃなEのに。 「どんぐらいまった?」 『今きたところだC』 「ホント?」 『うん、ほんと、丸井君に早く会いたかったから』 嘘つかないで全部言った。でも、最後の言葉にかぁっと丸井君の髪の色と同じ色に染まるほっぺたに、またたけば、「…天然。」とそのまま視線がそらされる。 「俺だって、早く会いたかった。」 でも、ボそっと言って、すっと私の前に手を伸ばされて「行くぞ、ゆめ」ってそう笑うから私も笑ってその手をとって歩き出した。 「あっ、ゆめ、」 『うん?』 「今日のゆめ、いつもより天才的に可愛いぜぃ!」 丸井君、いきなりそういうのはずるいよ…きゅっと唇をかんだ。でも、私よりも少し背の高い横顔をみて、『丸井君』と彼を呼べば少し視線が下がって首をかしげられる。 『丸井君も天才的にかっこいいC』 「へへ、サンキュ」 ほら、私の言葉は君に簡単に吸収されちゃうんだ。 *** *** *** それから電車に乗ってある駅で降りた。 初めて降りる駅だなぁなんて思いながら、変わらず丸井君の横に並んで歩くけれど景色が珍しくてきょろきょろしてしまう。 「ん?ここにはじめてきたのか?」 『うん、丸井君は来たことあるの?』 あまりにも私が周りを気にしていたからか丸井君が私に聞いた。だから頷いたら、「俺も初めて、でも調べた!」とそう言った。 『そっかぁ、私はあんまりお出かけしないし、しゃべるとしてもゆーしとか亮とかがっくんとテニスの話ばっかりかなぁ』 「ふぅん」 『…丸井君?』 丸井君が初めてって言うのはわかった。 でもその後にゆーしたちの名前を出したらとたんに少し機嫌が悪くなった。私、何か悪いこと言っちゃったかなって不安になる。 でも丸井君も多分皆とテニスの話するよね。 「なぁ、ゆめ、やめねぇ?」 『何を?』 「俺、仲間はずれってキライ」 足が止まった。きょとんっとしたら仲間はずれ。って言われて、よくわからなくてもう一回丸井君の名前呼んだら「だーかーら、仲間はずれはいやだっていってんだろぃ?」と眉間に皺を寄せてる。 わかんない。私、いっつも丸井君って呼んでるのに、ゆーしたちとの違い?学校が違うこと?テニス部? うーんっとたくさん考えて、一つ。 『ブン太君?』 「そ、でもおしい。」 いつもの癖で、君付け、丸井君って四出るから。でも惜しいってブン太君もに、と笑った。惜しいってことは考えはあってて…そしたらあと答えは一つで。 『・・・ぶ』 「・・」 『・・・ブン太・・・』 なれないから声が小さくなる。不安でちらっとまる・・ブン太を見れば、本当に嬉しそうに笑ってて、わしゃわしゃっと髪型が崩れない程度で頭を撫でられた。 「よし、天才的なゆめにご褒美。」 『あっあぁぁぁあああ/////』 「はは、ゆめ顔真っ赤だぜぃ」 そのままおでこにちゅーされて、いきなりのことにかぁぁっと顔に熱が溜まる。なのに意地悪に笑うブン太にきゅーっとする。 『ずっずるいずるいぃ!いきなりはずるいぃ!』 「はは、悪い悪い。」 悪戯が成功した子供みたいに笑って、むっとしてしまう。 ずるいずるい!! 顔を逸らしてブン太から視線を外せば「ゆめ〜、ゆめってば、機嫌直せよぃ?」とまた頭を撫でられる。 (ゆめ、俺さ、ずっと考えてたんだ) (うん?) (俺の隣にずっといてくんねぇかな。) (これからさき、ずっとずっと一緒にいてくれ) (っ私もブン太のこと、大好きだよ。) それが悪夢の始まり。5匹目のひつじが怪しげに笑った ≪≪prev ■■もどる |