3 / 7 にひきめ ねぇ、なんでそんな怖い目で見るの…? 私、間違ったことしたの… 教えて、二匹目の羊さん *** *** *** 昨日の夜、珍しくたくさん起きてたから危うく寝坊するところだった。 『ふぁ…』 ひとつあくびがこぼれる。でも昨日の夜は確かに楽しかった。 なにせ、全国大会行きが決まったのだ。関東予選であの青学に負けちゃった私たちだったけど開催が関東でってことで、特別枠で推薦枠。それが決まったのが昨日。 でも結局私たちはテニスが好きで、自然と学校に集まってたってだけなんだけどね。 大会、私も出れるといいなぁ、なんて思いながら一度ラケットのバックを背負いなおす。 昨日の今日だから朝練に出ようと思って起きたけど、やっぱり眠いんだC〜。 ぐぅっと腕を上に伸ばして、気持ちを切り替える。 ドンッ 突然の衝撃。うわっと道路側によろけて、でも体幹が弱いわけじゃないから数歩ふらついて、立ったままだった。 それにしてもあっぶな。 私ににぶつかってきた人はそのまま後ろに転んでしまったみたいだけど、あやうくせっかく大会が決まったのに怪我するかもしれなかった。 一方、転んだ方は「いたぁい」と甘くて媚びた声で痛みを訴えてる。…うわ、どういう神経?っていうか・・・ぶつかったのそっちだよね? あたかも私を悪者にするような、E〜かただし。 『…前見て歩いた方がEーよ?』 「うぇえ、ぶつかってきたのはそっちじゃないんですかぁ?」 とりあえず、注意しとく。 でも、作った顔でやっぱり私を悪いようにしたいみたいだ。 『ここ直線、そっちから見ればT字路。確認するのはそっちの役目。それに…俺にぶつかんなかったら道路に飛び出してたC』 だからちょっと冷たくそう言った。あんまり論理とか理屈とか好きじゃないけどそういえば、ぶぅっとほっぺを膨らませる。そんなことしてもかわいくないっての。 パッと見、化粧してるけど、絶対化粧しない方がかわEーと思うのに、 っていうか彼女が着てる制服に見覚えはなくてどこの制服?ここらへん氷帝しか学校ないよね? 「うぅ・・・ぶつかっちゃってぇすいませぇん。」 『・・・俺、別にけがしてないしEーけど、部活・・・遅れそうだからもう行くC』 だからと言って関わりあうつもりもない。 目は覚めたけど、朝練するために時間をせっかく作ったのに、こんなことで時間とられたく無いCー。 そのまま無視して走りだそうとすれば、私の腕に飛びつかれた。同時に鼻につくのは甘ったるい人工的な花の香りで、ぞわっとする。朝っぱらから香水つけすぎじゃないの!? 『…まだなにか』 うわっ自分びっくり、こんな低い声でるんだねー!不機嫌ってすんばらC!私の言葉に、そのまま上目づかい。うるうるワザと目をうるませているの、丸わかりだC。 おんなじ女だからわかるけど、確かに私今大きめの男子制服だもんね、多分わかんないよねー。 「その制服ぅ、氷帝学園のですよねぇ?迷子になっちゃってぇ、」 『視力…大丈夫?俺、いい眼科知ってるけど、紹介したほうがE−い?』 はぁ?と心の奥底から理解が出来ないと声が出てしまった。 つぃっと前方に見える学校を指差す。もう眼の前に見えるのに迷子ってどんだけ目が悪いの?って話だし、はっきり言って氷帝への迷子はゆーしだけで十分だと思う。 確か転校初日に迷子になったんだよね?電車間違えて。 でも、跡部とのテニスはすっげー楽しそうで、私はいい同級生を持ったなって嬉しくなったのはいい思い出。 りょーちゃんとがっくんはあんまり跡部を良く思ってなかったけど、今は全員、良い仲間だC。 『悪いけど、俺、忙しいの。 構ってる暇ないC』 でもそんな事してる間に着替える時間なくなりそうだから、そういって腕を引き剥がして今度こそ走り出した。うっわー最悪、ナンパよりもつらかったC!がんばった、私、がんばった!!後で丸井君にメールしよー! 《朝練いつも出てないけど、出るならちゃんとでないと跡部うるさいもんね。今日は頑張ろー!》 (おっかしいなぁあの人ジローだよね?) 120208Re210202 ≪≪prev ■■もどる |