▼ 大切な人
*-*Side Sasuke*-*
苦しげに咳をする朱音さんが、見ていられなかったっていうのが本音。
天井から彼女の私室へと降り立てば元々白い肌をより一層白くしてて…
ずっと作ってた薬草を煎じたそれを差し出せば笑まれた。
これは病気じゃないって…
知ってる…そんなこと…気が付いてる…。
でも…
『ありがとう、佐助。』
俺様にとっても弁丸様にとっても…この人はまだ、失えない。
大切な人で、だから生きてほしいのに…
「なんで笑うのさ…っ!」
すべてを消すように、笑うんだ。
苦しいはずなのに…なのに…
この前だって怪我してるのに普通に走り回ってたし、
俺様の問いにきょとんっとしていたけど、でも、また笑った。
『難しい顔をしていたらつまらないし、弁丸に心配をかけてしまうもの。それに、くよくよするよりも楽しく生きたほうがいいじゃない。』
でも、本当にこの人の考えは尊敬する。
おんなじ忍なのに…
こんなにやさしい言葉を紡いで…笑んで…
変な人だと心の底から思う。
「っじゃあ、せめてあんまり無理しないでください」
『はぁい、佐助は心配性ね。』
あぁ、でも…
この人が微笑まなくなる日は、きっと一生来ないんだろうなって…
そう思って、俺様は苦笑いした
近い未来にそれがあるなんて、思いもしなかった
執筆日 20130901
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