貴女がいた日常 | ナノ


▼ 帰宅と……


「姉上ー!」

『弁丸、ただいま。』



夕暮れ。
彼女はその待ち人のいるその場所へと到着していた。


城門に背を預けて下を向いている一人の少年。
けれど、ふと顔を上げれば目を輝かせて彼女に駆け寄る。

それを笑みながら両手を広げれば勢いよくその腕の中に少年が飛び込んできた。

ふわりと、少しだけ伸びている髪が尻尾のように揺れる



「おかえりっ姉上」

『ただいま、弁丸。』

「っ怪我、怪我はないか?」



それから、がバッと顔を上げると心配そうに朱音のことをきにかけるが、くすくすと笑みながら『私は怪我なんてしないわ』と言葉を紡ぎ、弁丸と呼ばれた少年は満面の笑みを浮かべた



「さすが姉上!」

『あら、弁丸だってもうすぐ元服でしょ?もっともっと強くなれるわ』

「ほんとうか!」



手をつないで、二人は歩く。

城門を守る兵はそれをほほえましく見て、城門を開いた。


そうすればそこにいたのは夕日色の少年が一人。
けれど弁丸の手がびくりっと震える

それを朱音は見逃さず、またかと苦笑いした。



「おかえりなさい、朱音さん。」

『ただいま佐助。』

「では弁丸様、お約束ですから。」



けれど、そんな二人の様子を無視してにこりと佐助は笑った。
だが弁丸の手は震えたままだ。



「だ、だが…」

『弁丸、勉学も大切なことよ?』

「で、でも…」

『じゃあ、今日は一緒に寝てあげるわ』

「!?」



否、否、

佐助の言葉にただ首を横に振るだけな弁丸に、笑顔で朱音がそういえばはっとして彼女を見上げて目を輝かせた



「ほんとうか!」

『えぇ、もちろん』

「っ佐助!」

「はいはいっと、 じゃあまたあとでね、朱音さん」

『ええ、』



目を輝かせ、そして忍を呼び駆け出して行ったのをにこにことそのままの笑みで見ていた。



執筆日 20130830


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