貴女がいた日常 | ナノ


▼ 届かない

*-*Side Yukimura*-*



「っ姉上!!」



戦中、
姉上は俺と同じ部隊にいて闘っていた。

ただ、少し離れたところで…

白い槍と氷の婆娑羅で敵を斬り伏せていく…


まるで白拍子…
舞を舞っているかのように美しく


けれど…気づいてしまったのだ。


そして、叫んでしまった。



姉上だったら気が付いていたはずなのに…





パァンッ!


響いた銃声、
俺の声に振り返った姉上の左肩に、撃ち込まれた銃弾。

その衝撃でか姉上の手から槍がおちた。



そんな、姉上の背後には…刀を振り上げる敵
姉上の眼が…さみしげに…けれど、何かをはらんで細められて…



懐に常に入れてあるクナイを抜き取り、そして投げるのは俺で…


だが、俺に当たることはなく、


それは俺の顔の横を過ぎ、後ろで苦しげなうめき声が上がった。




「朱音さん!!」



佐助の、悲鳴と…

笑んだ姉上、



振り上げられた刀。




すべてが・・・ 



「あね、うえぇえええええ!!」







遅く…見えて…



ぐらりと傾いた体。

地面に着く前に抱きしめれば、パキパキと…氷が割れるような音がして、地面が凍っていった。


ただ…俺が炎属性だからか…俺たちの周りだけは…凍らず…




『べん…まる…ぅ…』



背を斬られた姉上。
どくどくと手に伝うのは姉上の…



「いや、だ、いやだ、姉上っ」



にこり…

いつものようにはかなく笑って…


だんだんと…寒さが増していく。
俺は、ずっと知っていた。



姉上は、強すぎる力のせいで苦しんでいたんだと…



だが、きっと俺のもとに来てくれると…思っていた
苦しくなったら俺にすがってくれると…


なのに…っ




執筆日 20131103


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