▼ 戦火を凍らせて
赤い血を舞わせて駆け巡る。
敵が迫れば槍を振り上げ、赤い装束をさらに赤く染めていく。
命を散らして、遠くでほら貝の音を聞きながら、ただ、走り、切り裂いた。
すぐ近くには、弁丸のいる部隊がある。
上手く敵を回避しながら弁丸が怪我をしていないか確認し…
けれどそれは弁丸も同じようでちらちらとこちらをうかがっているが私的には目の前の敵に集中してほしいものだ
しゅっと槍についた血を払うように婆娑羅の力を分散させれば鋭い氷の礫が降り注ぐ。
あぁ…寒い。
でも…もう少しだけ、もう少し、だけ。
「っ姉上!!」
殺気と…悲鳴のような叫びと・・・
振り返った瞬間に、一つの銃声と撃ち抜かれた左肩。
灼けるようなその痛みに、うかつにも槍をおとしてしまった。
『(あぁ、私ったら…)』
背後に感じる殺気、
逆に走り寄ってくる弁丸と、珍しく驚きを表情に出している鎌ノ助。
弁丸の後ろで視線だけをこっちに向けてる佐助。
懐に常に入れてあるクナイを抜き取り、そして投げるのは
「っ!!」
弁丸の、後ろで刀を振り上げていた、敵。
君が無事なら、それでもいいと、
「朱音さん!!」
舞うのは、赤。
私が散らせた、赤。
「あね、うえぇえええええ!!」
背中がやけるように痛い。
ぐらりと傾いていく中でふわりと温かさが身体を包んで…
けれど、体の内側はひどく寒くて…
あぁ、もうだめだなって
執筆日 20131103
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