貴女がいた日常 | ナノ


▼ ゆがんだ歯車

*-*Side Kamanosuke*-*


『そう、弁丸は幸村になったのね』



にこりと、目の前で笑った女
同郷の腐れ縁

先に里を出たこいつは、氷の婆娑羅者だった。

里一番の実力者と言われて…将来を期待されていたが婆娑羅に目覚めたこいつはすぐに里を出て武田に仕えた。

そして、今の現状に至る。




「お前は、会わないのか?」

『私?

 
 私…会う資格なんてないもの』




あのころの面影はない、
ただ…そこにいるのはたった一人の女。

忍としてはもう役に立たない、ただの道具




「幸村様はお前に会いたがっているんだぞ?」

『それでも、だめなの。』




にこりと、まるですべてを悟っているようにいうから、思わずいらだってしまう。
いつもこいつはそうなんだ




『鎌ノ助、佐助を呼んで。』

「…」

『まだ、あの子は見習いだけど、とても強い子になるわ。



 それに、きっと幸村もね





 だから、おねがい』





二人を支えてと、










その時ばかりは、真顔で…
初めて里で会った時のような表情でいうもんだから、




「あぁ、」



咎めることなんて…

できやしない。





執筆日 20131009


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