貴女がいた日常 | ナノ


▼ 丑三つ時に

*-*Side Sasuke*-*



目の前で眠っている朱音さん
医者からまた寿命を縮めることをさせたのかと、武田の大将と鎌ノ助さんが怒られていた。

でも、きっと朱音さんは目覚めたらケロッとした顔をして走り回るんだろう。


誰からも、心配されないように…



「ねぇ…どうしてさ…」



どうして自分を大切にしないのさ…



なんでもないってな顔をしてても、いつも心の中ではなにかと闘ってる。

泣き顔なんて見たことはない。
おそらく…鎌ノ助さんぐらいしか見たことないだろう。

そう思うとひどく悔しい。


もし、俺様がもっと朱音さんと年が近かったら…もっと頼られたかもしれない…
もっと支えられたかもしれない…



「失いたくないのに…っ」



ぎゅぅっと手を握って、吐き出した言葉。
本当に、朱音さんはずるいから…

だからこんなに心が痛いんだ




『何を、失いたくないの、佐助』

「っ!?」



なのに、だ。

握りしめた手に触れた冷たい手。
はっとして目を開けば少しゆがんだ笑みをした朱音さんがいて…



「お、おき!?」

『うん、どれぐらい寝てたのかしら…体がだるいわ』



あわてる俺様に対し、当たり前のようにそういってゆっくりと体を起こした。
でも、やっぱりつらいみたいで、口元を手で覆って目を閉じてる。



『怒られちゃう、わね…』



それから…吐き出された言葉は…



初めて聞いたような、さみしげな声だった




執筆日 20131004


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