貴女がいた日常 | ナノ


▼ 赤

*-*Side Benmaru*-*



「あね…うえ…」



口の中が…ひどく乾く。
見たこともない忍が目の前に降り立った

けれど、佐助は平気そうだから…おそらく姉上の部下なのだろう。
だが…その忍が抱えていたのは…



血まみれの、姉上で…



「朱音さん…っどうして」

「ちょいとな、油断しただけだ


 弁丸様、朱音はこちらで預かります故、ご心配なく」



姉上は強い。
なのに…どうしてこんなこと…

佐助でさえ…驚いているようで…

忍は俺にそういうと、傷に触らないようにかそっと抱きなおしていた。



「っ待て!」

「…弁丸様?」

「姉上は連れて行かせぬ!」



ひゅーひゅーっと風のような音がする。
苦しげに呼吸をする姉上が酷く痛々しくて…

それに、姉上は俺が守りたい人で…
ほかの男になんてまかせたくはない…



「…弁丸様、朱音は忍です。」

「忍がなんだ!武士も忍もみな同じ命だ!
 俺の姉上はその女だけだぞ!」

「…」




一つ、ため息がこぼれた。
それにびくっと肩を震わせてしまったがぽんっと頭に温かい感触。

顔を上げれば姉上をうまく片手で抱いて膝をついて俺の頭をなでていた




「さすが、朱音の弟だ…よく言い切った。」

「…っ」

「佐助、小助を呼んで来い。」

「う、うん!」




口当を外して、やわらかく微笑むさまはどこか姉上と似ていたが別物だ。
佐助に指示を出して、佐助は飛ぶように走って行った



「こうして、お姿を見せるのはおそらく初めてでしょうね。
 俺は由利鎌ノ助と申します。

 朱音とはある意味腐れ縁なのです。」



そんな佐助を見ながら、忍びは言った。

あぁ、姉上が言っていた由利とは…この男のことだったのかと…



「…床はすぐに準備させる。」

「忍風情にありがとうございまする、」



少し、つまらないと思った



執筆日 20130919


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