貴女がいた日常 | ナノ


▼ 家族



由利に一度真田へ帰るといえばホッとされた。
お館様にもゆっくりとして来ればよいなんて言われて、思わず苦笑い

でも、しっかりと休んで来いと、



「朱音さん、」

『大丈夫よ、普通に帰るだけだもの』



馬にまたがって、不安そうに見上げてくる佐助。
安心させるために微笑んで、軽く馬の腹を蹴って軽く歩かせた。

馬に乗るようにいったけど、苦手らしいわ、楽しいのに。




『ちゃんとついてきてね。』

「並走できるにきまってます。」

『ふふ、じゃあ少し飛ばしていきましょうか』



真田の父上様に聞いたら、弁丸の元服式はもうすぐおこなうらしい

微笑みながらそう考えて、それから馬を走らせた。


それに並走する佐助の表情は浮かない、
あぁ、やっぱり少し早かったのね。




『(弁丸が…いらない、なんていうと思わなかった)』




確かに佐助にも癖がある、
まだ、主として認めていない弁丸を多少警戒しているのもあるかもしれない。

でも、私がいなくなった後あの子を支えられるのはおそらく、佐助やお館様だけ。




『(今、弁丸も佐助も、戸惑って迷子になってるだけ)』



仲直りさせたら、そっととおくから見守っていこう。



「朱音さん、」

『なぁに?』

「まだ、弁丸様には貴女がひつようですから、」

『あら、佐助はそうやって弁丸から逃げるつもりね。』

「そんなことは…っ」



少しずつじゃ遅すぎるの。

死は一瞬。


もう元には戻らない。

だから、戻らないつもりだったのにな、



『大丈夫、佐助も私の家族よ。
 家族の家族は家族だもの。』



まったく、手間のかかるこだこと



執筆日 20130913


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