『武田へとの戦いに出向いた後みたいだな・・・』
「あるいは、罠かもしれません」


開けた場所へとでた。だが、そこには灯りがある。

つまりは元々此処に陣をおいていたということだろう。

だがその姿がないとあっちゃぁ・・・もう出たあと・・・ということだ小十郎の言うことも一理あるが・・・いや、多分違う

それは、一つの根拠

だんだんと近づいてくる馬の足音

一つじゃない…小十郎の言う、罠とは違う・・・それ・・・

なんて考えていたら、現れた軍勢は・・・燃えるような「紅」私と、小十郎を視界に入れたとき、一瞬だけ視線が合った


「全軍停止! とまれぇい!!」


そして、背中に携えていた二本の槍を掴むとそれを地面へと突き刺し宙に舞う。額につけているはちまきが螺旋を描き、そしてそのまま地面へと着地をした

その風貌はさながら同じくらいの年か・・・それ以下かだが、成実と同じ…重く長槍を2本操っているということは相当力はある。
もう少し武装した方が良いとも思うが・・・


「弦月の前立てに、隻眼・・・もしや・・奥州の独眼竜・・・!?」


現在の私の格好を見て、当てられた。ということはそこそこ位が高いわけか・・・。

まぁ、私の敵じゃない

だが、そいつの後ろではザワザワと驚きの声が上がっている。仕方ないことなのだろうか、

そう考えながら後ろにいる小十郎に視線を向ければ小十郎も視線を合わせた。あぁ、だが考えは一緒のようだ。



「某は真田源二郎幸村!奥州筆頭・伊達政宗殿とお見受けする!何ゆえ貴殿が此処に!?」
『紅いの。』
「っ紅・・・無礼な!」
『アンタ、さしずめ武田の捨て駒って所だろ?』
「!?」


クスリっと一度笑ってそう言ってやる。そうすれば予想外だというように私を見て固まっていた。
疾風から飛び降りて着地をする。
なるべく、女だとわからないように
それから半歩左足を引いて身をかがめ、刀に手を掛けた


『俺は上杉を追って、川中島へ攻め込む』
「なっ」
『取って返して加勢するか、ここで俺を食い止めるか。どっちにしても、伊達の一人勝ちは見えてるがな』


私の発言が、気に障ったのか、それとも否か。
表情を固めて、一歩前へと出た。


「・・貴殿が必ず勝つと申す、その根拠が分からぬ」
『独眼竜は伊達じゃねぇ、ってことだ・・・You See?』


にやり、と口元をあげて見せればやはり癇に障ったらしい


「お館様と謙信公の勝負に、水を差させるわけにはゆかぬ・・・」


シュンっと槍を回し、構えた。


『・・・上等。小十郎、誰にも手出させんな』
「承知」


刀を抜いて、構えた


「真田幸村、 全力でお相手いたす!」
『奥州筆頭・伊達政宗・・・』

「いざ尋常に・・・勝負!」
『推して、参るッ!』



ふわり、灯っていた炎が消える。

だが、


『(こいつ・・婆娑羅者か・・・)』


纏う気が、変わった。



執筆日 20130816

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