利、まつ姉ちゃん。
二人が納めるのは加賀。
その加賀の国主となれば、秀吉に接触できると思ったから…
そう思ったから、俺はここに来た。
「加賀、前田家当主前田慶次
目通り感謝する。」
手をつき、頭を下げる。
ただっぴろい謁見の間に、俺と秀吉と…
「我は、豊臣秀吉。
前田は我が命に背き甲斐への参陣を果たさざるは、上杉討伐を邪魔した貴様が更なる謀反を起こし、前田利家より家督を奪ったが故か」
あのころはあんなに仲が良かったのに、
今はこんなありさまで…
「いかにも。」
「申し開きならば聞かぬぞ」
「離反させてもらいたい。」
闘いたくはない。
できれば、俺はお前と友達のままでいたいんだ。
それに、これ以上強さにこだわる日ノ本を、見たくない。
「豊臣との同盟を破棄させてほしい
前田はこの先どこの軍にも与しない。」
「かつて織田を裏切り、此度は我ら豊臣をを裏切ると申すか」
「だから、こうして筋を通しに来た」
別に強さなんていらないし、それに俺が望むのはみんなが笑いあえる世の中
そのために、俺は手段は選ばない
「中立となったところで豊臣の天下統一までは安穏とできようが、世界への進行に当たり日ノ本に尽力せん軍など取り潰されるのみ」
「それでも加賀は不戦を貫く
争いには加担しない」
「…よかろう。」
秀吉が立ち上がった。
目からはなんの感情も読み取れなくて…
足音を立てて去っていく秀吉、。
ぐっと…こぶしを握りしめた
俺が言いたいのはこんなことじゃない…
俺が言いたいのは…
「秀吉…」
名を、呼んだ。
そうすれば歩みを止める秀吉
懐に入っていた夢吉がもぞもぞと、小さくうごいた
「強さって、なんだ?」
あの時、半兵衛の後ろにいたあの兵士は俺は知らない子だった。
つまりは、それぐらい新しい子なんだろう。
けれども軍馬に乗りそして半兵衛の後ろをついて回っていたからおそらく力のある武将。
けれど…あの子からは何も感じられなかった。
温かい心も…なにも…
それは、ここに入って変わってしまったのか…それとも…
「長曾我部元親は、俺の友達だった
あのころのお前ならきっと馬が合っていい仲間になれたはずだ」
秀吉は…強さに縛られてるから
執筆日 20130918