炎が火花を上げてまいあがる
崩れ行く船はあやつが自ら炎をともした。
船の中に積んでいた火薬にも火はついたのだろう。
「退け、われらの勝ちは決した!」
そして鳴り響くほら貝。
すべてを終わらせるその音
しゅっと長剣を一振りしてから鞘へ納める。
「戻るぞ、麒麟」
『御意にござりまする』
そんな私へとかけられる声に、ただ一言そういって、
歩き始めたその人に続いた。
遠方より、地響きを上げながら押し戻る海を見ながら
ただ、前をみて
「おかえり、秀吉、麒麟君。」
そう、微笑んだ半兵衛様が酷く、温かい気がした。
執筆日 20130916