ずぶり、ずぶり…


足元から闇にもまれていく感覚がする、
ゆるりと目を見開いても暗闇が広がるだけ…

上か下か…右も左も…

なにもわからない





ただ、あるのは…



孤独…






『秀吉、様…? 半兵衛様…?』



どこにも、あの強い光がない…

美しいあの白銀がいない…




『家康殿…三成…殿…』




温かいあの笑顔と…

不器用だけれど優しい闇が…





いない…






『あぁ、もう…』




私は何にも…必要とされていない…
必要とされていないから…




なぜ、なぜ…っ



『…なぜ、だろうな…』



それがしは、ただっ



『ただ…私は』



あのひとたちと、たいへいのひのもとでわらっていたかっただけだったのに…っ



『あぁ、そうだった、





 だが、もう、遅い』




いやだ、いやだいやだいやだっ!もうひとりなんてっこわい、いやだっ



『私は、もうそれでよい、』




闇の中で、もうひとりのこえを聞いて


そっと、目を閉じた。




わかりきったことだから…





きでんは、あきらめるのか?
さすけも、おやかたさまも、まさむねどのも…っ


ぜんぶぜんぶ、すてるのか?



たすけてくれたあのひとたちを、すてるのか!




『あやつらがすてたのだ』


それでも










『もう戻れないことを、お前も自覚してるだろう。』


っ!




ゆるりと振り返れば、そこにいるのはかつての私。
目に涙をためたその女がいた。

ぽろぽろと大粒の涙をこぼして一度はあったその瞳がそらされた



『そのうち私は、こんな感情すら必要なくなるのだ
 ならば、さっさと貴様も消えるがいい。』






もう、もどれないから



執筆日 20130916



戻る/しおり



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -