「貴様は武田の…」
『…』
毛利軍へとたどり着けば、迎えてくれた兵に案内されそしてその途中、毛利元就殿と出会った。
私を見て、「武田」というあたり、魔王と対峙した時の記憶が彼の中にはあるのだろうと思う、
それに…たしか、彼は武田との同盟を切ったはずだ
天女には目もくれなかったのだろう。
この人には己の国の安泰が一番だから…
「元就君と先にあったんだね、」
『半兵衛様。』
「天女討伐ご苦労、…麒麟君?」
「麒麟?」
けれど、後ろから聞こえた声にゆるりと振り返れば驚いたように半兵衛様は目を見開いて名を呼んだ。
ただ、その名に首をかしげたのは毛利殿で…
すっとひざをつき頭を下げる。
『私は豊臣が騎馬隊を仕切らせていただいております、麒麟ともうしまする。』
「…よい判断ぞ、あのような天女に毒された地に残らなかったことはな」
『…もう、その天女もおりませぬが、』
紡がれる言葉に、やはりこの方は毒されなかったと知る
もう、関係ないことだが。
すっと立ち上がり、一礼してから半兵衛様へと視線を戻せばやはりどこか浮かない表情で
けれど、「元就君、彼女を僕の私室へと連れて行っていいかな」と毛利殿へといった。
なぜ、と思ったが「構わぬ」という彼の言葉に手が引かれ歩き始めた。
その力は強く…。
『半兵衛様…?』
「っ君を一人でいかせるんじゃなかった」
君を、壊してしまうなんて
執筆日 20130828