「新参諸にしちゃ結構なパフォーマンスだ
 だが、どうにもCoolじゃねぇ。」



久々に、あの方の声を聞いたと思う。
崖の下・・・。

そこに腕を組み、ぱりぱりと武器である六爪からは光と言う名の電気が光っている。



「伊達政宗君か・・・ やはりね・・・」



それに、半兵衛様が呟くようにそう言った。
ソッと、背にある長剣へと手を伸ばす。

あの方のことだ・・・襲い掛かってくるに違いない。


けれど、それ以上に警戒するべきは・・・



周りを確認するように視界をめぐらせる。
そこには、目立つ夕日色。

あぁ・・・やはり居た・・・



『・・・猿飛…佐助・・・』



大切な、私の元家族・・・
それは、お館様・・・否、信玄公の方へ向かっているようだ・・・。


きっと、何か策でもあるのだろう・・・それを伝える為に。



「政宗様!」



意識が浮上する。
はっとして、前を見れば政宗殿の傍らに、片倉殿。

片倉殿は刀に手をかけている。



「小十郎、手出しすんなよ」



けれど、政宗殿はそう言った。
片倉殿の視線は、後ろ・・・報告に行った、信玄公に向いているというのに・・・




「少しもったいないけど、

          潰すしかないみたいだ。」

「構わぬ、我等が欲するのは兵のみ。」

『・・・お下がりください、お二方。』



それから、言われた言葉に、スタスタと秀吉殿と半兵衛殿の前にたった。



「奥州筆頭・伊達政宗
     推して参る!!」


そして、いつもの台詞。
あの方と、傍らに居た片倉殿も同時に崖上へと飛び上がってくる。



「おっと。」

『っ!』



剣を抜こうとしたが、それは叶わず腕を引かれて抱きしめられた
そうすれば秀吉様が、拳を振り上げ、政宗殿たちに攻撃を仕掛けていた。

あぁ、あれに巻き込まれてしまうところだったのか。



「麒麟ちゃん、ちょっと大人しくしてようか。」

『ですが・・・』

「うーん、まぁ、遊ぶ程度にはいいよ。
 君は政宗君といい好敵手だったんでしょ。」

『ッ・・・かたじけない・・・』



なんて、考えていたのもつかのま、確信めいたことを言われて、表情が歪む。
けれどそれでもいいと言って離された手。

そして見えたのは、背後に立つ政宗殿と片倉殿。



「はぁ!!」



秀吉様に振り上げられた政宗殿の刀。
タンッと、地面を蹴って、自分の長剣を抜いた。





ガキンッ





鈍い音。
刀を折ることも弾き飛ばすことも出来なかったが、政宗殿は驚きに目を見開き、後方へ飛んだ。

しっかりと受身はしている。

それに安堵している私はきっとずるい。



「Ah?横から口出しすんじゃねぇぜ、Black Kniht」

『・・・』



けれど、昔のようにこの胸が、たぎらない。

あぁ、きっとこれものろいの一つなのだろうか・・・



悲しい。







『・・・「お初に]
お目にかかりまする奥州筆頭殿・・・。
 私は豊臣軍騎馬隊隊長麒麟にございまする』





パキ・・・






何かが割れる、音がした


執筆日 20130814



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