最近、何かを忘れているような気がする、
と、心の中で誰かが訴えてる。
それが何かっていうのが、俺様には理解できないし今、俺様がそばにおいておきたいって思うのは雪ちゃんだけ。
でも、誰かが、ずっと俺様を呼んでるんだ。
小さな小さな女の子が
「佐助?どうしたの?」
「んーん、なんでもないよ?」
「そぉ?」
俺様の腕のなかで、うとうとしている雪ちゃんは本当無防備で、ずっと守ってあげなきゃって思う。
大将から雪ちゃんのことを任されてるし、
だからそんなこと・・・考えてる暇はない。
忍は道具、私情で動いたりなんかしちゃいけないんだから
毛利との同盟はならなかったけど、長曾我部との同盟はなったし・・・
でも上杉といつ戦になるかわからない。
それに、今や魔王・織田信長が去った日ノ本じゃ、覇王豊臣秀吉の天下統一が叶おうとしている。
右腕である、竹中半兵衛・・・左腕は確か石田三成。
そのほかにも徳川家康に、なんか正体のつかめてない騎馬隊の隊長もいるって言うし。
本当、俺様やること多すぎっていうね!
忍使いが荒いんだよね、__はさ
・・・あれ?
「(__って?)」
ふと、頭の中で紅い炎がゆれた。
陽炎のように、その中にかすかに人の影がある。
けれど・・あまり顔は見えない。
でも、泣いてる・・・そのこが、泣いてる。
泣いて、泣いて、細いその身体を炎に晒している。
手を伸ばしたいのに、俺様の身体は、動かない。
『さ・・すけ・・・っ』
たすけて、
口が、俺様の名をつむぎ、そして助けを求めていた。
俺様の頬に、流れた涙。
けれど、ゴウっと炎が勢いを増して、その子の姿が・・・消えた。
駄目、ダメだ・・・
あのこのそばに、俺様が、行かなきゃ・・・
独りにはさせないって・・・あの時・・・
だれと、やくそくしたんだっけ・・・?
執筆日 20130805