緋ではなく、黒の装束を纏い
未だおぼつかない足で石田殿に支えられながら歩く

久しぶりにあの部屋から出たから時間の感覚がよく分からない。


なんでも、1週間はおかしくなっていたらしい。



「秀吉様や半兵衛様のお手を煩わせるな」

『あい、わかっておりまする』



石田殿は、本当に豊臣秀吉殿がお好きなようで・・・
先ほどから何回も言われている。

後ろからついて着ている大谷殿も笑っておられるのに


けれど、主君を慕う心は・・・私も変わらぬ・・・はずだった



「来たね、三成君、大谷君
 それからようこそ・・・幸君。」



謁見の間まで通され、そして言われた言葉に石田殿の手から離れ、三つ指をついて頭を下げた。

目の前におられるのは、石田殿の敬愛する豊臣殿と、竹中殿。



「・・・幸」

『あい。』

「我等は力あるものを歓迎する。」



けれど、呼ばれた名に、言われた言葉。
ズキリと胸が痛くなる。

その反面、嬉しくも感じだ。

私の・・・居場所・・・?



「それから、幸君。
  どうやら君の影武者は全国を巡る旅をしているらしいよ。」

『・・・影武者・・・?』

「まぁ、武田のことを思って君が指示した・・・と思ったけど・・・そうじゃないみたいだね。」



そして、言われた言葉に固まった。
・・・けれど、私の影武者で・・・そして私がいないことを知っているのは・・ 一人しか居ない・・・



『・・・鎌ノ助殿・・・真田十勇士の一人である由利鎌ノ助殿だと思いまする・・・。』



あぁ、けれど良かった。
鎌ノ助殿は生きていらっしゃった。

きとかすがどのが助けてくれたのだろう。


・・・おそらく謙信公も・・・




「うん、それでね。
 提案なんだけど・・・







 
 幸君。

















 君は「武田の真田源次郎幸」という名を捨てる覚悟はあるかい?」



執筆日 20130730



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