「真田・・・?」
『徳川殿、私はもう・・・真田の姓にはございませぬ。』
武田から帰還して、儂を待っていたのはいつものお二人と三成、刑部・・・
それから・・・本来武田に在るべき・・真田幸の姿。
何故?と、思ったがおそらく、あそこから追い出されたのだろう。
「家康君、お帰り
どうだった?」
それから儂に掛けられるその言葉に、慌てて頭を下げた。
元々、武田に行ったのは儂の勤め
しかし、真田の前で言うには、酷すぎる。
『私の事は構いませぬ。
邪魔だというならば退室するまでにございまする』
「いや、ダメだ。
君はこれを聞いたうえで、こちらに来てもらうか決めるんだから」
けれど、彼女はそう言った。
三成は目を細め、秀吉殿は微動だにしない。
彼女がここにいるのが当たり前のように・・・
「さ、家康君。」
「・・・はっ」
だが、上の命令に従わざるをえない。
けれど・・・
どうか・・・苦しまないで欲しいと・・・
**-**Side End**-**
『・・・』
家康殿の口から紡がれる言葉が心に刺さる。
なぜに・・・ございましょうか・・・
お館様は、民を一番に考えておられたのに・・・
手を痛いほど握り締める。
今、民は苦しんでいる。
おそらく・・・あの寺も・・・
私は・・・どうしたらいいの・・・?
「・・・一度・・・武田を攻撃してみようか。」
『っ!』
言われた言葉にはっと顔を上げた。
竹中殿は・・何を・・・
家康殿が私を振り返った
「そこは・・っ」
「勿論、わかっているよ。
ねぇ、・・・・君はどうする?」
あぁ、けれどきっと・・竹中殿は知っていて・・・言っているのだろう。
家康殿は、私をみて竹中殿を見て、固まってる
『・・・衰退して行く武田であれば、私の力だけで充分にございまする』
けれど・・・きっと・・・私には殺せない・・・
執筆日 20130730