*-*Side Mitsunari*-*



半兵衛様が猫といった。
拾った・・・というのはは確かだが、何故女が猫と言われたのか私には理解できなかった。

それは・・あの女が言った言葉。
昔の私と同じ・・死にたがりの目だ



「ねぇ、幸君、
 君は武田に捨てられたから「必要ない」というんだろう?」

『・・・』

「捨てられたのなら、君もその過去を捨ててしまえばいい。」



まるで、諭すように、半兵衛様が真田へと声を掛ける。
ゆるりと顔を上げた真田の絵には何も映っていなく、例えるならば鏡のようだ。



『お、やかた・・・さま・・・』

「君を必要としているのは武田だけじゃない。
 ねぇ、幸君



 君がよければ豊臣軍の一員にならないかい?」



小さく主を呼ぶ真田に、半兵衛様はそうおっしゃった。
それに酷く驚いてしまったが・・・だが、真田はゆっくりと半兵衛様に手を伸ばす。


その行動に微笑んだ半兵衛様はその手をやさしくとりそしてその手を引くと腕の中へと治めた。



『っく・・私・・私は・・・』

「大丈夫、君は必要とされているよ。
 生きていても良い。」

『うっく・・・』


「真田幸君、

 君は、ここにいても良いんだ。」



ポロポロと涙を流して、真田は半兵衛様にすがっている。
それが少しいらだつ。

何に対してかはわからない。

・・・ただ、あんなにも私の言葉には反応も示さなかったというのに・・・



『竹中、殿・・っ』

「ん?」

『私は・・・っ』






独りでは、居たくないんです









それは、おそらく真田の本心だったのかもしれない



執筆日 20130719



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