「三成君が猫を拾ったのかい?」
「やれ、我も酷く驚いたものです。」
突然、大谷君が「三成が猫を拾ってきた」と言ったときは思わず綴っていた書に変に筆を滑らせてしまった。
だって、あの三成君が猫を拾ってくるなんて・・・。
なんにでも無関心な子が・・・珍しい、
「それで、今日は来れないと。」
「我も会わせて貰えぬ故、どういう状況かは分かりませぬが、何、手負いできちんと餌も食わぬと」
「それは目が離せる状況じゃないね。 どんな子なのか、見に行ったら見せてくれるかな」
だけど、三成君が秀吉よりもそれを優先したっていうのは、ちょっとホッとした。
秀吉に夢中になりすぎて自分の事がおろそかになっている彼が、他のものに気を使うことが出来るようになったんだ。
随分な成長じゃないか。
「竹中殿の頼みとあれば三成は拒否いたさぬ故、大丈夫かと」
「ふふ、そうだね、そうだよね。」
でも、彼なら僕が行っただけでその子の世話なんて放りだしそうだな。
そうなったら困るけれど、でも三成君を夢中にした獣を僕も見てみたい。
って言うのが本心。
「やれ、少し会うには早いかもしれませぬ。
ここ1週間は三成の罵声が飛び交っておりまする」
「え、三成君の?」
でも、大谷君が言った言葉に、今度こそ固まった。
三成君が叫ぶ・・・って言うのはよくあることだが・・・まさかたかが猫だよ?
猫に叫ぶなんて・・・
本当に、珍しい事もあるんだ・・・
なんて考えたんだけど・・・
「じゃあ、三成君に伝えておいて貰っても良いかな?」
4日後に、新しい仕事をもって行くって。
そういえば、大谷君は「あい、わかりもうした」と頭を下げた
執筆日 20130612