暗い森の中に、まるで導かれるように歩いていく銀色。
その目は闇に解ける鴉を追っている
まるで導くようにその銀色がついて着ているかを確認しつつ、森の中を飛ぶその姿は酷く滑稽といえよう。
しかし、ある一点を越えれば、バサリとその翼を羽ばたかせて地面・・・否、主であろうその人物の肩に舞い降りた。
銀色・・・豊臣軍・・石田三成
今、天下統一にもっとも近いといわれる覇王・豊臣秀吉の左腕と言われるほどの実力者であり、豊臣秀吉を神と同じように崇めている。
その人物が鴉に連れられて、この森の中。
強いといえどもたった一人で此処まで来たのだ。
普通ならば考えられないだろう。
けれど、確かに、彼は此処にいる。
「貴様、どういうつもりだ」
だが、その声には怒りが孕んでいた。
ここは豊臣領・・・普通ならば「豊臣軍以外」の者が・・・しかも、忍がここにいること自体が、彼の気に障った。
否・・・それだけではない。
彼は何よりも、その忍の赤に警戒をしていた。
まるで何かを斬った・・・その後。
だがしかし、忍は一言も口を動かず、赤きそれをおろして、一度三成を見やり風にまぎれて消えた。
間者か・・・?
ふと、そう思った三成は忍がおいていったそれに近づいた。
これはすでに1週間以上前の話。
執筆日 20130610