*-*Side kasuga*-*


「かすが、もどりましたか。」

「謙信様・・・」

「・・っ」

「はなしはききますよ、かいの・・いえ、さなだのしのびよ」



気配を消して、罪を受けようとも鎌ノ助を上杉へと連れてきた
真田へは鎌ノ助が代筆した文を届けた後に

内容は、至って簡単。

「家には帰らず、日ノ本を巡る旅をする」というものだ。



手紙を受け取ったのは女。
真田に良く似ていた。


覚悟のためだ、と、あの場に散っていた真田の髪を渡せば、その髪を大切そうに撫でていた。


そして私はきいたのだ、あの女の・・・真田幸がまだ幼少だった頃を



「私が、あの子を守れなかったゆえ・・・」

「・・・真田殿・・・」

「弁丸は・・とても父と兄を慕い、笑っていたの。
 でも、あの子は力を持ってしまった、そのせいで・・・」



それはあまりにも悲しく、そして寂しいもの。

忍でもないのに、私や猿飛と同じ様な扱いを・・・まだ年が一桁の時に行われたのだという
言うことを聞かなければ狭い牢に入れられ・・・外の光を受けず小さな籠の中で育った。

女子だから、という理由だろう。


それを父親と兄が聞きつけ、助けには来た

だが・・・その二人を・・・



「あの子は・・・今は笑んでいますか?」

「あぁ、勿論だ。」

「それならば・・・私は良いのです。
 どうか、あの子を・・・幸をよしなに・・・」



それをすべて知っていた。
でも己の娘を守るが為に、武田へと駆け込んだのだという。

そして、今に至ったというのに・・


結局、誰も真田幸を守れていないのだ。


なのに・・・



忍である、私に頭を下げたのだ。
真田という一族は・・・どうも忍の扱いが鳴っていない

だが・・・もう・・・あの女はいないだろう・・・

あの血の量では・・・もう・・・




「御意に・・・」



一言、そう言って地をける。

だがそれは絶対にいえない。


彼女の中での真田幸は生きているのだから


・・・忍は嘘のなかで生きている・・・なのに酷く心がいたい・・・





「かすが・・・敵なのにな・・・何から何からすまない」

「構わない、その代わり」

「あぁ・・すべて、事実を話す。・・・武田に起こっていることを」




真田幸

お前は馬鹿だ。酷い人間だ


だから、私は、手を貸してやろう。



「いって・・・もう少し丁寧に」

「たわけが、忍なら我慢しろ」

「・・はいよ」



守りたかったものを、守る事に




執筆日 20130531



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