ねぇ、独眼竜。
何でもかんでも力でねじ伏せちまったら争いってやつが、終わらないじゃないか…

人ってのはさ、ちょっと心が結びつくだけで、傷つけあいたく無くなるもんじゃないか?
それが人ってもんだとあんたも思わないか、独眼竜。

たとえそれが、それ振りあっただけの合い手でもさ…

なんで…なんでいつになっても人ってのは…
なんで、よりによって、あいつがさ…




風来坊の言葉が頭によぎった。
あいつは逃げなかった
ただ、俺の心に刺さったのは俺とは違ったあいつのまっすぐな思いだった。

俺も、揺るぎもせず、幸を見つめていたら、見つめ続けていたらあいつは、笑っていただろうか、
あんな悲しい目を、さみしい目をさせないでやれていただろうか、なんて…遅い。




目の前に迫るのは、俺たちとは違う大群。
黒と赤。
今のあいつが掲げている、今のあいつの色、あいつの居場所。



「やっと会えたな、豊臣の山猿…!」

「奥州の小蛇よ…。けものみちを這いずり、先回りしたか」



豊臣の兵が次々に武器を構える。
鎧がぶつかり、音を立てる。

だが、これだけ人数が違っても、関係ねぇ。



「どうだい、勝った方がこの城に入るってのは、いっぺんに他所もおとしにかかってんならちょうどいい。この独眼竜がまとめていただいて




 奥州伊達の天下統一だ。」



それこそ、こんな言葉はただの立て前だ



「あぁ、それから
 


あんたのとこのBlackKnightもいただこうか」



俺は、あいつだけがほしい。
もしも、豊臣を倒して、あいつが元に戻るのなら、手にはいるのなら



「貴様が我に勝つなど、万に一つもありえぬ。二度命拾いしたことを忘れたか。」



何を言われようと俺には関係ねぇ、
右手を刀に添える。



「獲り損ねやがったのはそっちだぜ」

「半兵衛が裂きし、その陣羽織…。我が戦慄の蒼白へと染め直してくれよう。」



豊臣はゆっくりと俺へと歩いてくる。
それは全く、恐れもせず、それこそ覇王というべきにふさわしいと、



「こっちはいつでも死に装束だ。」




だが、俺は、取り戻したいだけだ、と



執筆日 20141220



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