大阪城には思った以上に簡単に侵入できた。
それは、あの羽の存在があったかもしれないけど…
今は、いい。
樹の上から見えた地下牢。
そこにいた片倉の旦那に「貸し」ってことで救出して。
「…それ…」
そして、見つけた。
片倉の旦那に一番近くて、でも、この世界に二つとない、それ。
松永が大好きな六爪の一振り
でも、これは幸ちゃんが、伊達政宗からもらったものだ…
「あぁ、これは幸が…」
「っ幸ちゃんがいるのっ!?」
俺様の小さなつぶやきに、片倉の旦那はあの子の名を出した。
それに思わず声を上げてしまったが、それに一度だけりらりと俺様を見ると刀を見て、さみしそうな顔をしている。
どうして、と体が震えた
「…右目。もう幸はここにいないのだろ?」
「…あぁ。」
「っ…」
でも、一緒に親友下かすがの言葉に片倉の旦那はうなずいて、また…再会できる機会を失ってしまったと…
「数日前に、宇都宮に行くといって出ていったきりだ。」
「…じゃあ、生きてるんだよね?」
「いや、あれからあいつは帰ってきていない。
生きていたとしても、闘えねぇな」
「どういう…」
あぁ、忍のくせに…
こんなに感情が現れるなんて情けない。
本当…あの子は…
「独眼になった兵はおとりだ。」
「っ!!!」
「政宗様は幼少より片目だ、その分慣れているが…あいつは…」
あの子は、どれだけ俺様の心を乱すんだろう。
片目がどれだけ危険かを知っているのに、知ってるのに…
それが、あの子の身に降りかかっているなんて、思いたくない…
「幸ちゃん…っ」
痛かっただろう…苦しかっただろう…辛かっただろう…さみしかっただろう。
たった一人で、あの子は、全部を背負った。
「っ…」
一番、俺様がそばにいなくちゃ…いけないのに…
執筆日 20140114