「本当に卿は面白い。」

『…何がだ。』



渡された忍愚を使い松永のところに戻ってくれば先ほどよりも地面がえぐれていた。
おそらく爆薬でも仕込んでいたんだろう

こやつのことだ、何か合図をして爆発させるようなもの…。



『私の役目は終わった、あとは勝手にするがいい。』




渡された紅の衣を脱げば松永は物珍しそうに私のさらされた腕を見る。
視線を向ければ焼けただれたそれが目に入って目を細めた。

あぁ、そういえばこれは私の業だったな。なんて…



「本当に卿は興味がそそられる。
 その傷は君が真田を滅ぼしたときについたものだろう。」

『…』

「まったく、紅蓮の鬼姫とはよく言ったものだ。
 くく…愉快愉快」



そしてまるで何をかめでるように腕を取られて傷を撫でられる。
痛みがあるわけではないが、どこか心が痛い。



「いいものを見せてもらった礼だ。
 卿の首にかかっているその笛、吹いてみるといい。」

『…笛?』




きょとんっとして首を見る。
首から下がっている、赤みががかった銀の小さな笛。


そういえば、ずっとかかっていたが吹いたことはない。



『笛なぞ吹いても、何が出るわけでもない。』

「試すか試さないかは卿次第だ。
 さて、私は風魔に頼んでいることがあるのでね、卿とはここでお別れだが、

 何、卿の希望は果てしなく戻りつつある。」

『きぼう…?秀吉様の天下ということか』

「それは吹いてみて確かめるがいい、」

『…』



意味深げに言われて笛に目をおとす。
なんて思ってたらちょんっと額が小突かれた。



「卿は面白い。
 面白いゆえに壊したくなる。」

『…』

「さぁ行きたまえ、卿には武田に奇襲をかけるという役目があるのだろう。」

『言われずとも、』








わかっている、という言葉はできなかった




ずきりと、頭が痛んだが…



私には関係のないことだと、首を横に振った





執筆日 20131213



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