いつもは、小十郎から受け取る文を文七郎から受け取った。
西海の鬼…元親とともに大阪へ向かう道中のことだ。
これからどうするか、全員で軍議的なものをやっていた。
そんなときに、飛んできた矢。
巻き付いていたのは文。
受け取り開けば、中にあったのは見慣れたもの。
「義」と書かれたそれと…赤い、結い紐.
なんで…
「これは、片倉様の
それにその紐…真田の譲さんのじゃ…」
「なに?」
そう、これは俺が幸にやったやつだ。
魔王のおっさんとの戦いのときに手を怪我して…どうかと俺の腕に鉢巻を巻き付けた、その礼に…
「どういうこった、竜の兄さん。」
どよめき、そしてその中で俺を呼んだ元親、
視線は書状に向けたままだが
「豊臣にとらわれていたうちの副将が、松永って野郎に奪われた。
この先で俺を待ってるらしい。」
「嬢ちゃんの紙ひもっつーのは…」
「あんたの情報が正しくて、幸が敵の手に落ちてるってんなら俺が確実に来ると踏んで油断させるためにやってんじゃねぇのか…?」
おそらく、元親の情報がなけりゃ俺は軍を置いてでも幸に会うためにかけていただろう、
だが、それがあいつの狙いだとしたら。
「くっそ、あのおっさん」
「また筆頭の刀を狙ってんのか…っ」
「真田の譲さんまで使うなんて…!」
四方から聞こえるその声に、一つ息を吐く。
とりあえず、小十郎がこっちに戻ってくればいい
そしたら俺は自由に動けるようになる
「西海の鬼、
あんたにこいつらを預ける、予定通り大阪を攻めろ。
カタをつけたらすぐに駆けつける」
「筆頭!?」
俺のこの言葉に、周りから驚きの声があがり文句を言われるが、歩き出す。
「待ちな」
だが、それを止めたのは元親で、
ゆるりと視線を向ければ
「もし、嬢ちゃんが松永のとこにいるっつぅんなら、俺が松永を引き付ける。
竜の兄さんは真田をそのうちに助けてやれ。
俺が、あいつを余計苦しめるようなことを言っちまったからな。」
「…」
そういわれたが、
お前は知らねぇんだよな、
幸を苦しめたのは、
俺も同じだっていうことを
執筆日 20131122