*-*Side Sasuke*-*


「猿飛…」



久しぶりに降り立った上杉の地。
その人物を探し当てて降り立てば、その後ろにいたのは、一人の尼



「寒松院様…っ」



それは、幸様の生母である、その人で…
少しだけ大人っぽくなった雰囲気の…幸様に見えて…


ひどく泣きたくなった



「佐助殿…?」

「っ…」



囁くように言われた名
あぁ、俺様はこの人に頼まれたのに…守れなかった

この血にぬれた手を使わずに…俺様は…あの子を殺したも同然だから…

この人の前に、顔なんて…出せるわけがない。



「幸は元気にございまするか?」

「え…」

「真田がもゆる炎から、あの子は私を助けてくれたのですよ?
 姿さえ気を失っていて見ることもできませんでしたが…これが私の手に握られていたと。」


でも、そういった
微笑んで…首からかかる見覚えのある六文銭に触れて、そう…

かすがに視線を向ければ、複雑そうな顔をしている。
あぁ、そうか…この人は…



「今は大将の命で…薩摩に…」

「まぁ、そんな遠くに…」

「でも、お嬢…いや、幸様は次期武田の大将ですからね」




何も…知らないんだ…
だから、俺様を罵倒しないんだ。

こんなにも、温かいんだ…っ




「寒松院様、そろそ謙信様のもとへ」

「ふふ、そうね。
 あまり忍同士の話に顔を突っ込んでいたら怒られてしまうものね」

「いえ、そういうことでは」

「いいのよ、ではまた」



でも、かすがの言葉に冗談半分でそういって。
それから俺様に一礼して、背を向けて歩き出した。



「かすが…お前…」



その背が見えなくなってから俺様はかすがを呼んだ。
お嬢は…かすがの目の前で死んだんだ。
あの六文銭はおそらくかすがが握らせたんだろう。

そう思ったのに…


差し出されたのは大輪の花。

違う…



血まみれの桜の華の簪…
それもすごく見覚えがあった。



「それ…」

「真田幸のものだ」

「あの人は…」

「もう、見つかったとしても見れたものではないだろうな。」

「ッ・・!」



風魔の主に献上したのではないのか?


と、あぁ、俺様はあの人の影なのに…



手にあるのは…あの人のもの・・・






「くそ…っくそ!!」





なのに、俺様は死に目にも会えずに、苦しめて…





「ずっと一緒にいるって…っ!!」




約束…したのに…!!



執筆日 20130927



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