あぁ、そろそろこの茶番も終りにしたいと・・切実に感じる。
それは、私のこの目の前の現状からだ。
「雪! 俺と稽古しようぜ!」
「いやだ。政宗怖いんだもん! 私バサラ者じゃないんだよぅ?」
「そうそう、竜の旦那。雪ちゃんの綺麗な肌に傷つけるようなことしないでくんない?」
綺麗な庭に、つい先日訪ねてきた蒼の竜と私の忍が居る。銀色の魔と、ともにそこに居る。
やだ、いやだ、やだ、いやだ
政宗殿の目は、私を・・いつも戦場に立った時に某を見る目。あぁ、あぁ・・
『(いやだ・・・っ)』
クルリッと身をひるがえす。
どうして、何故?
私は何もしていないのに・・・
あぁでも・・・
『(一人になるのは怖い・・っ)』
トストスと少し足音が出てしまう。
早く、この場から去ろうとしたときだ。
「幸よ。」
『?!』
後ろから、掛けられた、声。
びくっと肩を震わせて振り返ればそこに居たのは、お館様。私を一度見ただけで、すぐに・・・視線は
『ッ!!!』
すぐに、視線は・・・あちらへと、
「幸、ワシは雪を養子に迎えようと思うんじゃがおぬしはどう思う。」
『・・・某・・っ某は・・』
ノドが、乾く。
あぁ、やだ、いやだ・・っ
なんで、なんででございますか・・・
お館さま・・・っ!!
『某は、お館様のご意向にお任せいたします。天から来た娘子が、お館様の娘となれば、きっと天下も近づくのではありませぬか?』
もう、見て、居られなかった、
スッと、歩き出そうと足を踏み出した。
「そうじゃ、たまには親孝行でもしてこい。幸よ。」
あぁ、けれど、もう・・・
ツゥッと頬につたったなみだ
もう、
『(私は、イラナイ)』
執筆日 20130512