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「足を引っ張るなよ。」
『わかっています。』
馬にまたがり、石田様の言葉にそう答えた。
時間が流れるのは早く、もうすぐ出陣だ。
また、私が人を殺す時が来る。
「遅れるな。」
『はい。』
けれど、それに恐怖していては駄目。
何時までも前に進めなくなる。
半兵衛様が言っていたでしょう。
自分の未来を護る為に、
歩む為に、敵の未来を奪うんだって・・・
馬の手綱を握り締める。
それから進もうとしたが、その前に「弥月!」と私の名が呼ばれた。
それに振り返れば、別働隊の家康の姿。
しかも、私のライフルケースを持ってる。
『え、家康?』
きょとんっとしてしまったが、そのあとすぐに馬から下りた。
『家康は、第二軍じゃ・・・』
「弥月が銃を忘れていったと思ってな、」
そうすれば、家康は満面の笑みでそう言った。
けれど私には、もう必要ないそれ。
『ごめん、それ、わざと置いてきたの』
「な・・そうなのか?」
それに素直にそういえば目を開いて家康は驚いた。
くすっと苦笑いしてしまう。
「・・・っ弥月、今からでも遅くは無い
特攻部隊からはずれろ」
『え・・・』
「まだ、経験もあさい弥月が行っても無駄死にするだけだ!
半兵衛殿に言われれば儂が引っ張ってきたとでも言えばいい!」
けれど、ガッと肩をつかまれて、そういわれた。
悲願するように言葉を吐く家康が。辛そう。
でも・・・
『家康、私は半兵衛様に言われたことを遂行するだけ。
心配してくれてありがとう。』
「弥月・・・」
『だいじょうぶ。私はだいじょうぶ。
銃、貰って行くね。』
にこっと笑って、家康の手を肩からどかす、
それからライフルケースをうけとって、肩から提げてベルトを締めて落ちないようにした。
そして、たんっと地面を蹴って馬に再びまたがる。
「弥月・・・」
『家康、いってきます。』
「!・・・あぁ、必ずまた・・・」
それからそう言って、馬の腹を蹴っていつの間にか少し距離のあいてしまった石田様の方へと向かった。
ライフルがあるだけで、少しホッとした。
やっぱり・・・安心できる。
執筆日 20130301
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