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障子が引かれて、私は歩君に言われて中に入った。
そこには布団が一式、
そして、包帯を全身に巻かれた人が一人。
彼が大谷吉継その人なのだろう。
『田沼弥月でございます。』
頭を下げて、自分の名を言って、顔を上げた。
『・・・ぁ・』
不思議な瞳と目が会う。
黒と白の反転した、まるで皆既日食のときのような瞳。
その瞳に、何が映っているのだろう。
そう思うと不思議でたまらない
「やれ、どうした。」
『いえ・・・綺麗な瞳だと思って。」
「・・・ひひ・・」
『?!』
「主は面白いことを言う、
三成が気に入るわけよ・・・」
なんて思ってたら、固まってたことが疑問だったのか、声がかけられて、おもわず言ってしまった。
それに、独特すぎる笑みが返ってきてまた固まったが彼の口から出て来たのは石田様の名前。
彼が、私を?
なんて、バカなはなしだ。
彼は、私を道具としか思っていない。
いや、ただのお荷物かもしれないけれど、きっと、嫌いになっているとおもう。
執筆日 20130223
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