05
(18/45)
『全く・・・私に医者の不養成だと言っていたのはどこの誰ですか。』
「・・・」
『はぁ・・・』
さっきとは逆の状態になり、ため息をついてしまった。
まさか着流しのままやるなんて思わなかったから、動きづらかったのだろうか、
ところどころ血が出ていて、それを私が治療しているのだ。
それは向こうも一緒で、私はこれぐらいの小言だが、ねちねちとさっき私としゃべっていた小十郎さんとは思えないぐらい別人だが、
まぁ、そこは仕方ないのだろうか・・・。
軽く治療を済ませて、ため息をつく。
これくらいの怪我ならば、まだいい。
けれど・・・
これが戦場なら・・・そう思うと、酷く怖くなってくる。
何があるか、分からないのに・・・
「・・・お前は、なんで戦場に来た。」
『え・・・』
なんて、考えていたらいきなりそういわれた。
キョトンッとして、石田様を見れば、私をその瞳は見ていない。
見ているのは、私の、さっき怪我をした手だ。
『なんで・・・って・・・』
「私は、お前にこんなことをさせる為に此処に連れてきたのではない。」
『・・・それでも、私は戦いますよ。』
思わず聞いたら、そう返された。
けれど、それは矛盾だろう。
貴方は、私を見つけたのは、ライフルを持っていたら、といったじゃないですか。
『私は、たとえどんな運命でも、ここに来た。
来て、貴方達と一緒に、戦って護る為にいるんです。』
「・・・」
『だから、そんなこと言わないで下さい。』
吐き出すように、自分に言い聞かせるようにそう言って、包帯を止めたら、「弥月さん」なんて後ろから声がかけられた。
振り返れば同じ医療班の歩君。
少し離れたところにいて、多分、石田様がいるからだろうけれど、
『呼ばれてるみたいなので、私はちょっと行って来ます』
多分、薬が切れたかなんだかと思う。
スッと立ち上がって、歩君の方へ歩き出した。
執筆日 20120218
戻//進
表