想イ輪廻 | ナノ

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差し出されたその二つには、確かに、豊臣の家紋。
そして、剣には「天来猫成豊臣導刃」と彫ってある。
どういう意味…か分からないのだが、まぁ、後で誰かに聞けばいいだろう。


「これは、秀吉から弥月君に。君も、豊臣の一員だって言う、証拠だよ。」
『私の?』
「そう、君の。」


ニコリ、と笑って、私にそれら二つを渡す半兵衛様。横に居る家康を見ればニコニコしてて、顔が「良かったじゃないか!」って明らかに言ってる。一方の石田様はムスッとしているけれど。


『…ありがたく、頂戴いたします。』


でも、私にとって、これはありがたい。
この前の戦でライフルの銃弾はもうほとんど無くなってしまった。だから、戦うには武器が必要だった。レイピアはさすがに・・・今の私には使えない。

竹刀や木刀さえ今まで持ったことはなかったんだから、かなり練習というか鍛練が必要だろうと思う。


「家康君。三成君。弥月君のこと、よろしく頼むよ。」
「承知。」
「半兵衛様のご命令とあらば」


でも、どうにかなるかもしれない。
どうにかしないと本当に私捨てられちゃうから。

頑張らないと・・・




「やったな 弥月!」


謁見を終えて、三人で廊下を歩いていけば横に居た家康が言った。
何が・・・って言っても分かりきっているから「うん。」っと笑っておく。手元にあった二つの箱は家康が持ってくれたから、私は転ばないように自分の着物を持っているが、さっき石田様からはしたないと文句を言われた。別に構わないが。


『剣は使ったこと無いんだよね。』
「そうなのか?」
『うん。』


でも、問題はレイピアだ。日本刀とかならともかく・・・。まぁ、特訓すればいいと思うけど・・・うん・・・どうしようか・・・。


「儂は槍を使っているからな・・・三成。」
「・・・なんだ。」
「お前、教えてやれないか?」


なんて、思っていれば勝手にそんな話になっていた。

・・・ん?

クルッと後ろを歩いている石田様を見れば、立ち止まりこちらを見ている。
見ているというよりはにらんでいるという方が正しいかもしれない。


『・・・いえ、これは私の問題ですから、嫌なら結構です。』


だから、そう言って笑えば、二人は驚いたように私を見た。
これは私の問題であって二人に迷惑をかけるわけにはいかない。次の戦までに剣が使いこなせなければ銃一本でやればいい。

大分軽いから大丈夫だとは思うのよね。

とりあえず、着替えたいな。なんて思って足を早める。後ろで何かを言っていたけれど無視。普通なら打ち首かな、なんて思ってしまうけれど・・・

ばれないように、小さく泣いた。
戻れない・・・戦いを避けられない。また、私は・・・人を殺す・・・


執筆日 20130123


 
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