なんたって純情 | ナノ

向かう先は、肉


と、いうわけでただいま、イルミ兄と一緒にザバン市にきています。

ふわー。
街とかくるの久しぶりだなー。

「ねぇイルミ兄?」
「ん?なに」

「まだ時間ってある?」
「…二時間くらいあるね」

お、よし。

「服買ってもいい?」

いやさ、いまあれですよ。仕事着のまんまなんですよ。
ね。折角試験受けるんだったら、こんなの忘れたいしさ。

ちなみに仕事着とは、ポンチョみたいなのと、カーゴパンツ、中は黒いタートルネックカットソー。
ね、地味だわー。

「いいよ。じゃ、店にはいろ。」

「やったー!」

ちかくにあったオシャレなブティック。そこにはいる。


「かわいー…」
「俺が選んでもいい?」

「うん!」

イルミ兄、自分の服は…アレだけど、あたしの服を選んでる時はすごく可愛いのを選んでくれる。

似合うっていってくれるんだよ。

「これなんかどう?」

イルミ兄が選んだのは、中にストライプのブラウス、暖色系のカーディガン、赤のチェックのプリーツスカート…。

かわいい!高校生みたい!

「買うー!」




で、きがえました!

「仕事着は処分!イルミ兄、ありがと!」

「どういたしまして。じゃあ、会場にむかうよ。」

「うん。」

やー、モチベーションあがる!!

「と、そのまえに」

「?」


イルミ兄は、服の胸に刺してある針を抜くと、自分の顔に刺し始めた。

い、いたいっ!

なに。なにしてるのこのひと


「い、イルミ兄?」


すると、イルミ兄の顔は見るも無残な事に…なっていた。

「どーすればいいの?」


「カタカタカタカタ」


怖い…ホラーだ

「カタカタカタカタ」




「あそこの定食屋で、ステーキ定食?頼めばいいの?」



「カタカタカタカタ」

「弱火でじっくり?」

「カタ」

「わかった。…やってみる」


さあ、いってみよう!



ガラガラ…

「いらっしぇーい!」


普通の定食屋だよ…なんだろ、なんなんだろ。

「お、おじさん。ステーキ定食2つ…」


ピクッ。

お、おじさん、反応したよ。大丈夫なのかそんなんで。

「焼き方は?」

「弱火でじっくり」

「お客さん奥の部屋へどうぞー」

うわー、本当なんだ…へんなのー。

後ろをみるとイルミ兄はまったくの無表情…。
怖い。

「あ、あのおじさん」
「なんだい?嬢ちゃん」
「あの…あたし、弱火でじっくりなんですけど、ミディアムのが好きです。」


あれ、おじさん固まっちゃった。
なんかまずったかな。


「はっはっは!嬢ちゃん、あんたきっと合格するよ!」

おじさんは大声で笑いながらあたしの方をみた。


よくわかんないけど、まあいいか。

「わぁ…」
奥の部屋には、ジュウジュウ音を立てて焼かれている美味しそうなお肉があった。

「イルミ兄、たべれるのー?」
「カタカタ」

「ふーん。いただきまーす。」

イルミ兄はいらないってさ。もったいない。こんなおいしそーなのに。



もぐもぐもぐもぐ




じーーーー




もぐもぐもぐもぐ






じーーーーー




もぐもぐもぐもぐ




じーーーーー



「あのさ…イルミ兄…その顔…食べにくいんだけど。」



だってさ、ずーっとじーっとみてくんだもん。


「カタカタ…」


「わかればよし。うまー」


マジで美味しいこの肉。あの店は贔屓にしよう!!




チーン


「お、ついた?」
「カタカタ」




「え?こっからは別行動?なんで?!」

イルミ兄は、一人でズンズンいこうとしている。

「イルミ兄っむぐっ」
と思ったら、片手で私の口を塞いだ。
そして、耳元で

「ここでは俺ギタラクルだからね…頑張って、ルキ…。ごめん、後で説明する。」


そういって、301の番号札を受け取って、人ごみに紛れていってしまった。

さみしい!





(名前変換一回きり…すみません)



まえ つぎ

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