青空日和


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【番外編】構って欲しい時の方法 夢主side



(男乳首にピンポンネタありますよね、そのネタを書いてと言われたので書いた奴です)


私にはいつもいつも「ソラ!」と呼びベタベタして来る父親がいる。血は繋がっていないが、本当の父親として接してくれている、所謂育ての親という奴だ。私が初めての“子供”で、それはもう過保護に、散々甘やかされて育てられた。またスキンシップが激しく、それは現在も毎日続いており、年頃の自分としてはうざったくて仕方がなかった…のだが、何故か今日だけは寄ってこなかった。視線が合っても特に気にする様子も無く、すぐ逸らし船員達と話し出す始末。こんな事、今まで一度も無かった出来事で、つい首を傾げてしまう。…いや、もしや、これは。
「無視…?!」
おとーさんの癖に!?と、理不尽なのは分かっているが苛立つ自分が居た。例えると、いつも尻尾振って寄ってくる犬が、突然噛み付いてきた時の気分だった。昨日の事を振り返ってみても、何かやらかした訳でもなく、いつも通りに過ごしていた筈で、原因は見当もつかなかった。
「意味分かんない…」
ポツリと不満が溢れる。来ないなら来ないで寂しい…なんて認めたくないけど、実の所は寂しい訳で。こういう時「素直に構って」と甘えられた昔の自分に戻りたいと願ってしまうが戻れる筈もなく、つい溜息が漏れた。そして、ちらり、と此方に背を向けている父に視線を向けるが、やはりこちらに来る気配は一切無く、自然と眉間にシワが寄る。
さて、どういう風に声を掛ければいい?今日は天気が良いね、とか無難な声掛けをしたい所だけど生憎、今は曇り空だ。こんな下らない事で思考し始め、本当に認めたくはないのだが、自分がどれだけ父親好きーーー所謂ファザコンなのか、改めて思い知らされる。
して、悩みに悩んで数分後、ふと閃く。自分で考えといて何だが、その内容はいかにも男児がやるような事で「それは無いって!!」と自分にツッコんでしまう。

しかし父が自ら構いに来ない日なんて無かった故に、振り向かせる方法なんて正直に「構ってよ」と言うか、今閃いた案を試すしか自分の脳には無かった。前者は絶対に無理だ、言いたくても言えない…としたら、後者しか無い。発想力が乏しいのは承知の上だ。悩んでても仕方ない、試すしかないだろ!と誰かに背中を押された気がして、どんどん父の背中へ歩み寄って行く。そして、意を決して人差し指を立てたその瞬間、先程まで振り向く気配すら無かった父が、赤い髪を揺らしながら振り向いた。「どうした?」の一言もなく、たった数秒程の沈黙が続く、それは数分にも感じて。そして指はちょうど、彼の胸元を指していて、もう後に引けないと察する。
「ぴ、ぴんぽーん…」

一拍置き、父は盛大に吹き出し、大声を出して笑った。この声の様子じゃ、きっと笑い過ぎて涙を流しているだろう。顔に熱が一気に集まるのを感じる。それはもう火が出てると錯覚する程に、熱く、思考は勿論停止した。
「だはははは!!!まさかそう来るとはなァ!可愛い奴め!!!」
そう笑いながら、ガチガチに硬直した私を普段のように、力強く抱き締める父。まさかそう来るとはって何?と聞きたくても余りの羞恥に声すら真面に出せず、ただただ数秒前の行動に後悔をする事しか出来なかった。すると、父は笑い疲れた様子で語り始めた。
「悪ィ、娘がおれに冷てェって事を新入りに言ったら“押してダメなら引いてみろですぜ、お頭!”だなんて言うもんだから…つい、試しちまったんだ。まさか、ソラがこうやって来るとは予想外で…」
「もうやだ!!それ以上聞きたくない!!バーーカ!!!」
聞いてられず、父の言葉を遮り、無理矢理体に力を入れ突き飛ばした。
「もうおとーさんの顔も見たくない!!大っ嫌い!!!」
「そっ、ソラ!?待て!!悪気はねェんだ、ちょっ、待て!!」


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