青空日和


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04.デートしましょう



「ーーーん…」


何者かに揺さぶられる感覚。閉じていた瞼をゆったりと開く。窓から差し込む太陽の日差しで、もう朝を迎えたのだと一瞬で理解する。
そして、目の前には赤髪のシャンクスーーーおとうさんが居た。昨日とは逆に、私を起こしにきたようだ。距離は非常に近く、はらり、と綺麗な赤髪が己の顔を撫でた。起こしにきてくれたのは理解しているが、あまりにも近いので思わず眉を顰めてしまう。


「ソラ、そろそろ島に着くぜ?」


その言葉を聞くや否や、ばっと勢いよく上半身を起こした。「おっと」と、私の顔を覗き込んでいた父は反射的に体制を正し、お互いの頭が当たる、という悲劇は起きなかった。


「島…!」


ベッドから降り、寝癖により少し跳ねた髪を櫛で急いで梳かす。ちなみに着替える必要はない、今日はすぐに動けるよう、夜にシャワーを済ませ、就寝時には私服に着替えていたからだ。
そんな忙しない私に片眉下げ、フッと笑みを零すおとうさん。


「まあ落ち着け、そんなに慌てなくたって島は逃げねェよ」


「そりゃそうだけど!久々の上陸でしょ、早く見て回りたいの」


「……そうだな、おれとデートだもんなァ!」


一拍の後、背後に花でも咲き散らしていそうな程、嬉しそうにでれっと顔を綻ばせていた。擽られているようなこそばゆさに襲われ、相手の顔は見ず「はいはい」と軽く流した。昨夜、見張り台で言ったことを全部覚えているのだろう。
・・・何で、こういう時に限って酒を飲んでいて記憶があやふやじゃないの?恥ずかしい。




「着いたぞー!!着港だーー!!」




外から大きなクルーの声が聞こえる。ワイワイと賑やかさがドア越しにでも分かった。居ても立っても居られず、ベッドの傍に置いていた小洒落た小さめなバッグを背負い、先程から身支度を傍観していたおとうさんの右腕を引っ張った。


「行こう!」


「ああ!」




___________
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船に備え付けの木製の階段を降りようとするも、後ろにぐいっと引かれる感覚に、ぴたりと止まる。何?と振り向くと掴んでいた腕の主、シャンクスが赤髪海賊団の副船長ーーーベン・ベックマンに事情を話していた。
・・・そういえば、一緒に見て回るって話をしていなかった。


「んじゃ、そういう事で買い出しはお前らに任せる。今日一日、おれはソラとデートだからよ!悪いな、デートで!」


"デート"という単語を強調し、まるで見せ付けるように右腕を捕らえていた私の手を取り、ぎゅっと握って見せた。
なんて大人気ないんだろう、子供か。思わず呆れ顔に変わる。

そんな大頭にベンは全く…と私と同じように呆れた様子で煙草に火を付け、ふぅと一息吐いた。


「…二度言わなくても分かってる、日が暮れる前には戻ってこいよ」


「おう、頼んだぜ!」


最後にそう一言返事すると前を向き、私の目をしっかりと見つめながら、にっと歯を見せて笑った。
そしてぎゅっと握り直される手。馴染みのある大きく、ごつごつとした手は暖かく、安心感を覚えた。照れ隠しするように私は「早く行こう!」とすぐ顔を逸らし、一緒に階段を降りて行った。






「楽しそうだなァ、お頭」

「ああ、あまりハメを外さないと良いんだが」

「もう今の時点でだいぶハメ外してるぜー」

「…それもそうだな」


わらわらと出てきた幹部達は仲睦まじい親子の背中に微かに和んでいた。


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