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標的8 優しさの中に




大体ボスなんて、どこもかしこも総じて皆同じ。高慢ちきで、ひたすらに偉そうで、冷酷に仲間を切り捨てる。そんな風に思っていた。
あの人に会うまでは。

九代目を初めて見た時の第一印象は、優しそうな老爺、と言ったところであった。それ以上でも以下でもなく、それだけだった。強いて言うなれば、尊敬と少々の畏怖を抱いていた、あの祖母が入れ込むだけのものがこの人にはあるんだろうか、なんてことを幼心に思っていた。

「あぁ?なんだ、このガキ?しかも女じゃねーか。」

「ここは君みたいなお嬢ちゃんが来るとこじゃないですよー?」

確か、十になるかならないかぐらいの時だったと思う。一度、次期ボス候補の側近達の家系が集まる場があった。まぁ実際集まる場といっても、会合をしているのは次期側近の後見人たちで、本人たちは適当に本部施設の中をうろついて過ごしていたのだが。当時、綱吉以外の次期ボス候補は皆二十歳近い年齢で、勿論それに比例して私以外の他の側近候補達の年齢も高い。
しかも、綱吉の存在はかなりあやふやであったし、一回りも下のボス候補なんて眼中に無いも当然。そういう影響もあり、その場では私は嘲笑の的であった。

「大体よぉ、こーんなチビがボスの側近?笑わせんなよなぁ?」

「あれだろ、そのボス候補もチビなんだろ。」

「てか、んな奴見たことねーけどなぁ!」

「おーおー、勇ましく薙刀なんて振っちゃって。それを使う日は来るのかねぇ?」

本部に設置された広場。そこは中庭のようになっており、芝生が敷かれ、いい具合に日が入る。そこの空気が本部の中よりは幾分マシに吸えたため、そこで暇つぶしに修練をしていたのだが。
時間を持て余した、他の側近たちのうちの二、三人が私の方へ近づいてくる。
自分だってその同い年の護衛主に会ったことすら無いと言うのに、下卑た笑いを向けられるのは、大変頭にくる。
だが、ここでその挑発に乗った所で、何にもならない。私の後見人である梅さんや、家光さんたちに迷惑がかかるばかりである。
というか、彼らとしては、自身の祖母が現側近という理由からこの場にいる、一回りも年下の子供が気に食わないのだろう。

「おい、無視してんじゃねーぞ!」

目線にも入れないようにしていたのだが、さらに怒りを買ったのか、突き飛ばされ、尻餅をつく。地面が芝生でよかった、大して痛くない。

「大体、テメーみたいなチビがこんなん使ってんじゃねーっつーの。」

転ばされた衝撃で、落としてしまった薙刀の木刀を拾いあげる奴等。
まるで玩具でも扱うように、ぞんざいに振り回すものだから、少々の不機嫌さを声色に乗せて、抗議の声を上げる。

「……返してください。」

こんな事で激昂するなんて、カッコ悪い。子供ながらのプライドというやつだ。もうかなり怒り心頭であったが、務めて冷静に、落ち着いて告げる。

「返して欲しかったら、頭垂れろよ。」

「前々から思ってたんだがよぉ、お前一番年少者の癖に、態度デケェんだよなぁ。」

壁を作って、威圧するかのように胸をそらす彼ら。そうやって、一回り年下の子供の物を奪って、偉そうにえばる貴方達の方が、かなり不遜な態度だと思うが。それは口には出さないでおく。

「おら、膝ついて、返してくださいお願いしますって、言ってみろよ。」

マフィアの付き人だなんてとんでもない、まるでどこぞの盗賊のような、ベッタリと張り付く笑いを浮かべる。出された条件に、流石に従いかねていると、痺れを切らしたのか、とうとう彼らは実力行使に出始めた。

「頭垂れろって言ってんだろ!!」

飛んできた右ストレート。かなりガチに力がこもっている。年下の子供にここまでするか、普通。自分から同じ方向へ吹っ飛び、衝撃を流す。
流し自体は上手くいった。だがやっぱりまだまだ未熟、あまりに攻撃を流しすぎて、相手に全くダメージを受けていないことがバレてしまった。

「こんっのガキっ……舐めやがって!」

その行動は逆に相手の怒りを買ってしまったようで。薙刀を放り投げられ、拳を放ってきた一人が携えていた短刀を抜く。頭に血液が昇っているのだろう、周りなんてお構い無しに、鈍く光る短刀を振り回しながら、こちらへ突進してくる。
まずい気がする。気がするというか実際まずい。激昂の勢いに任せて振られる獲物を、捉えて受け流す。が、失敗。剣先はなんとか身体から外すことが出来たが、衝撃を殺せない。
顔面に短刀を持った拳が入り、そのまま吹っ飛ぶ。流石に、幾つも上の男の拳は流しきれなかったようだ。女の顔に拳を入れるなんて、なんて腐った性根なんだか。
ジクジクと右頬が痛む。こりゃ酷く腫れそうだ。全く勘弁して欲しい。殴られた衝撃によって、クラクラと歪む視界。
奴以外の候補者が、流石にやばいと感じ始めたのか、止めようとしているが、そいつの怒りはこんなもんでは収まらないらしい。まだ追撃を加えようとこちらへ向かって来ている。息を荒らげ、歯茎をむきだしにするその姿は、プッツン来ているとしか言いようが無い。
再び振り上げられた短刀を、今度こそは流そうと構えたその時。その場にいた誰もが予想だにしていなかった仲裁者が入った。
短刀を握りしめ、勢いを殺す手。その手はやけに節くれだっていて、手の主がかなりの年配者である事を告げている。逆光に目を細めながら、見上げればそこに居たのは。

「き、九代目っ?!」

騒動の当事者二人以外のその場にいた全員が、即座に頭を垂れる。
私もワンテンポ遅れて、膝を付く。
短刀を握り締められている本人は、あまりの衝撃と、伝う血液に脳の処理が追いついていないようだ。石のように固まってしまっている。

「若者の喧嘩は、よろしい。私もよく兄弟とやったものだ。」

優しく短刀を抜き取りながら、同じように優しく言葉を紡いでいく。

「しかしな、自分より幾分も年下の女の子に、武器を持って喧嘩とは、イタリア人としての教養がなっておらんとは思わんかね?」

怒るでもなく、叱るでもない。静かに染み渡るように。そう、諭す、という言葉が最も合う。先程まで、頭に血が上っていた奴は、一変、青ざめた顔をしていた。

「桜!?何やってんだい!」

梅さんや他の後見人達が騒ぎを聞きつけて、会合を取りやめて駆けつけたようだ。その人たちも、広場に立つ九代目の姿を認め、驚愕を滲ませる。

「ティモ!?あんた何でここに……」

「いや、少しばかり若者達の喧嘩へお節介をな。」

九代目は、ニコニコと先程までの喧嘩騒動が嘘のような笑顔を浮かべ、ゆっくりと背中を向け、元来た道へ歩み始めた。

その後は九代目の計らいもあり、梅さんにコッテリと絞られただけでこの騒動は幕を閉じた。それ以来、ほかの側近候補者たちも、絡んでくることは無くなった。
あの時、ファミリーの血が流れないよう、自分の身を呈して護ってくれた姿に、私はひどく心を打たれた。
血を滲ませたその手が、頭から離れなかった。あの人は、やはり紛れもないボンゴレのボスなんだと、そう思った。優しさ以上のものを、その小さくて大きな背中から、感じ取れた。


だから、彼、沢田綱吉が私を救うためにその手を掴んだ時、同じようなボスの才を感じたんだろうと思う。やはり彼は、なんだかんだと言って、あの人の血縁なのだと、実感した。

「ロン毛!!死ぬ気でお前を倒す!!」

随分と雰囲気の変わった彼の額に灯るのは、橙の炎。先日の夢の男性に似ている、とその炎を見て思う。

「ツナ……君……?何故……。」

「御三方を見捨てて逃げられるわけがない、との事。」

ツナ君を援護するように、銀髪の刺客へと攻撃を繰り出すバジルが、口を開いた。

「拙者も同意です。」

優しい、優しすぎる。その優しさはまるでマフィアには似つかない。
でも、だから九代目は、彼に期待をかけたのか。だから私は、彼を九代目に重ねたのか。彼になら、命をかける価値があると、改めて実感した。彼ならば、ファミリーを、人を大切にしてくれるだろう。

「死ぬ気の炎に、このグローブのエンブレムは……。まさかお前は噂に聞いていた日本の……、そうかお前と接触するために……。」

銀髪はツナ君の拳を受け止めながら、今日一番の驚愕を顔に浮かべ、眉を寄せる。まずいな、もう奴にはおおよそバレてしまったようだ。

「ますます貴様ら何を企んでんだァ?死んでも吐いてもらうぞぉ、オラァ!!!」

スイッチが入ったのか、ギラギラと奴の瞳が好奇心で光り輝いた。
そんなことはお構い無しに、ツナ君の気合いの一声とともに拳が放たれる。が、いとも容易く受け止められ、カウンターで返される。

「う゛お゛ぉい!よえぇ、よえぇぞ!」

なんとか防いだようだが、衝撃を受け切れず吹っ飛ばされるツナ君。追撃に向かわせないようにと、その背後からバジルが銀髪に妨害を行う。しかしその攻撃は、奴に読まれている。バジルの動きは捉えられ、逆に反撃を受け、こちらへ吹っ飛んでくる。

「バジルっ!大丈夫か?」

ジュゥゥと音を立てて、額の青い炎が消えてゆく。もうバジルの身体は限界だ。

「桜殿……、まだ『アレ』を、沢田殿に……。」

「…………マジか……、それは不幸中の幸いっつーかなんつーか。」

今のツナ君に渡していたら、服と一緒にどっかにいってしまうんじゃないか?それとも一枚残ったパンツの中に入るのだろうか、疑問だ……。
って、そんなしょーもないことを考えている場合ではない。

先程からなんとか刺客の攻撃を防御し続けているツナ君が、とうとう捉えられ、吹っ飛ばされた爆音がなる。

「う゛お゛ぉい、いつまで逃げるきだァ?」

爆煙の中、ツナ君への距離を詰める奴。
情けなく悲鳴をあげるツナ君の額には、もう橙の炎は灯っていない。

「腰抜けがぁ!!」

薙がれた刀からは、またあの爆煙を生み出す火薬が放たれたのが目視できた。

「うわあああ!!」

自身の命のためなら、どんなに振り絞ろうとも動かなかった身体だったのに。彼の命のためなら、ほぼ無意識のうちに、立ち上がり駆け出していた。
傍に転がっていたバジルのメタルエッジを拾い、共にツナ君を突き飛ばし、爆発から守る。
爆煙の中、バジルがなんとかこちらへ近づいてきているのを確認し、刺客へ向き直る。
煙が晴れ、立ち上がっている私を見て、奴は一層面白そうに唇を釣り上げた。

「う゛お゛ぉい、まだやんのかァ?死に損ないがぁ。」

死に損ない、たしかにその表現は的を射ているなと、自虐的な気持ちになる。ツナ君の危機を感じ、なんとか身体は動いたものの、正直あと数秒もこの銀髪を留めておける気がしない。
背後では、バジルがツナ君に『アレ』を渡そうとしている。

「は?オレに?…つーか親方様って?!」

「とりあえずこれを。」

バジルが懐から、ボンゴレのマークがあしらわれた黒いケースを取り出す。ケースを開けばそこには八つのリングが。
とうとう、か。覚悟していたとはいえ、生で見るとやはり少し身震いする。
ハーフボンゴレリング、だが、こんな継承の仕方今までだって聞いたこともない。

「何かはリボーンさんが知っています。」

「え?!君リボーンを知ってんの?」

ツナ君は本当に何も、家光さんから説明を受けていないようだ。

「リボーンさんは訳あって戦えません。これを持って逃げてください。ここは拙者たちが……」

「ちょっ!急にそんなこと言われても……。」

「う゛お゛ぉい!」

豪快ながなり声とともに、すっ飛ばされる。いやもう全く、反応すらできない。

「貫薙さん!!」

傍へ転がされてきた私に駆け寄るツナ君。未来の上司に、これ以上かっこ悪いとこは見せらんないな。
とは思うのだが、身体自体はもう立ち上がるのがやっとだったりする。

「そぉいうことかぁ!?こいつは見逃せねぇ一大事じゃねーかぁ!」

邪魔だったのだろうか、傍らに転がっていたどこかのカフェのテーブルを粉砕しながら再び刀を構え直す奴。

「貴様らをカッ捌いてから、そいつは持ち帰らねぇとなぁ。」

もう既に奴らヴァリアーとXANXUSには、九代目が所持していたハーフボンゴレリングが譲渡されていたはずだ。ここで、このリングを奪われては、リングが完成し、XANXUSが正統な次期ボスとなってしまう。
何としてもそれは避けなくては。大体、九代目から譲渡されたってのも、なんだか裏がありそうな話だ。

「う゛お゛ぉい、ソレを渡す前に、何枚にオロされてぇかいってみろぉ!!」

「……渡すわけねぇだろ。オロさせもしねー。」

膝に力を入れ、立ち上がろうとするが、少しふらつく。なんとか力を込め、踏みとどまる。

「貫薙さん!血が……」

「じゃあ、テメーからだなぁ、死に損ない。」

私をぶちのめすため、奴はグッと体勢を落とす。絶望的なまでに、これからの自分の姿が予想できる。
しかし、奴が自分の髪と同じ銀に光る刀を構えた所で、聞き覚えのあるハイトーンボイスが間に割り込んだ。

「相変わらずだな。スペルビ・スクアーロ。」

この声は。首の皮一枚繋がった気持ちで、気が緩んだのか、踏ん張っていた足から力が抜ける。
スクアーロと呼ばれた銀髪の男は、忌々しそうに表情を歪めながら肩越しに振り返る。

「子供相手にムキになって恥ずかしくねーのか?」

鮮やかな金髪の髪を青空に写し、その端正な顔にはいつもは見せない、鋭さが覗いている。鞭を携え、背後には幾人かの部下も従えているようだ。臨戦態勢、と言ったところか。

「ディ…ディーノさん!」

「跳ね馬、だと!?」

流石に驚きを隠せない様子のスクアーロ。確かに、なぜディーノさんがこんな所に?彼はイタリアに居るはずでは。

「その趣味の悪い遊びをやめねーって言うんなら、俺が相手になるぜ。」

ディーノさんとは、兄妹弟子として何度かお世話になったことがある。だが、その時には一度だって、こんな殺気の宿った眼はしたことが無かった。
その様子に、目の前の刺客は少し思案を重ねているようだ。当たり前か、私やバジルならまだしも、ディーノさんとやりあうとなれば、一筋縄では行かないだろう。

「……う゛お゛ぉい、跳ね馬ぁ。お前をここでぶっ殺すのも悪くない。だが、同盟ファミリーとやり合ったとなると、上がうるせぇ。今日のところは大人しく……」

流石に組織に所属する者の一員としての常識はあるようだ。そう思って少し安心したところで、その安心は裏切られることとなる。

「帰るわきゃねぇぞぉ!!」

素早く身を翻し、ツナ君のそのツンツンと立ち上がった茶の髪を引っ掴む。

「ぎゃっ!!」

「てめぇ!!」

悲鳴をあげ、苦痛に顔を歪めるツナ君。そのあまりの暴挙に、怪我なんて忘れてメタルエッジを叩き込もうとした瞬間、奴は左腕の刀を振るった。
今までとは違って、今回は足元に。あれだけの爆炎が上がっていた火薬が、足元に放たれれば、どうなるかはまぁお察しの通りだ。
辺りを包む爆炎に視界が奪われる。しまった、これでは闇雲に攻撃できない。万が一ツナ君に直撃してはことだ。
突然のやつの行動に爆炎を吸い込んだのだろう、幾つもの咳き込む声があちらこちらから上がる。かく言う私も、喉に流れ込んできた煙を外に出そうと、絶賛咳を繰り返している。

「お前達、大丈夫か?!」

ディーノさんが近寄って来た気配を感じる。

「貴様に免じてこいつらの命は預けといてやる。」

晴れ始めた煙の中、さっきまでの位置とは段違いに遠方から、奴の声が聞こえた。

「だが、こいつは頂いて行くぜぇ。」

声の主の方へ振り仰げば、やつは先ほどのビルに開けられた穴の前に立っていた。その手に握られているのは、ボンゴレマークの黒いケース。

「あぁ!ボンゴレリングが……!」

バジルが悲愴な声を上げる。当たり前か、家光さんから託されたものを奪われたんだ、その絶望ぶりは計り知れない。
ひらりとそのまま穴の向こうへ消える奴。バジルは本能的にだろうな、追いかけようと駆け出しかけるが、身体はその意を汲んでくれないようだ。力なくその場に倒れるバジル。

「深追いは禁物だぞ。」

いつの間に近くに来ていたのか、リボーンさんが隣で落ち着いた声を上げる。

「リボーン!!」

ツナ君が驚いた声を上げるが、一拍置き、思い出したかのように詰め寄る。

「なんで今頃……!どーして助けてくれなかったんだよ!?」

まぁ確かにツナ君の気持ちもわからないことは無い。だが、リボーンさんにも立場がある事をわかっていて欲しい。今回はディーノさんが間に合ってラッキーだったんだと。
リボーンさんが、ツナ君に事実を告げているところで、私はドサリとその膝を地に着いた。やばい、意識が朦朧とする。

「桜、大丈夫か?」

ディーノさんが背を支えてくれるが、その気遣いに応えられないほどに疲弊しきってしまっている。やばい、このざまではリボーンさんに蹴られそうだ。
隣ではさらに詳しい説明を求めているツナ君。だが、遠くからサイレンの音が聞こえる。このままここにいては不味い。私達はあくまでもマフィアなのだから。こんな事で警察のご厄介になる訳にはいかない。

「ツナ、その話は後だ。廃業になった病院を手配した。まずはそこに行くぞ。」

手馴れたようにディーノさんの背におぶわれる。あぁ、そう言えば、リボーンさんにしごかれていた頃は、動けなくなってよくディーノさんに連れて帰られていたっけな。

「ま、待ってください!獄寺君と山本が……!」

「あいつらなら心配ねーぞ。」

クルリと振り返ったリボーンさんが視線を向ける先には、回復したのだろう、こちらへ走ってくる二人の姿が。
良かった、大した怪我ではないようだ。

「大丈夫か!二人共!」

「いったい奴はなんなんすか!?」

そう言いながら駆け寄ってきた武と獄寺だが、その二人が私の方を見て目を見開く。そんなに凄いことになっているのだろうか。

「桜っ……」

驚愕を滲ませ、近寄って来る武。だがそれを遮るようにリボーンさんが冷静に口を開く。

「お前らの戦闘レベルじゃ、足手纏いになるだけだ。とっとと帰っていいぞ。」

冷酷とも取れるその言葉に、二人が足を止める。

「リボーン、なんてことを……!」

反論しようとしたツナ君の手を、問答無用で引いていくリボーンさん。流石に私もこの辺りで、僅かばかりに残っていた意識が、とうとう落ちた。最後に見えたのは、いつも笑顔のその顔を、悲痛そうに歪め、こちらを見つめる幼馴染の姿だった。





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