モノローグ 懐古的な記憶
真っ暗な中を、私は漂っていた。
暗闇の中目を閉じ、手も足もうごかさず、流れのままに。
ここはきっと、夢現の中なのだろうと自分の中でも理解しながら、それでもなお、その漂う心地良さに、身を預けていた。
そんな暗闇の中、一つの橙の光が、私を照らし上げる。ゆっくりと目を開くと、そこには一人の男性が佇んでいた。
金色の髪をしたその人の事を、私はどこかで見たことがある気がした。
だが、それがどこなのかは、頭に靄が掛かったように、ぼんやりとして思い出せない。
その人は、少し憂いを帯びたように、こちらを見つめていたが、私はその人の額に灯る、暖かい橙の炎に、意識を奪われた。
先程の光はこの炎から発されたものだったのだろう。
橙の炎はボンゴレボスの、炎の色。
ならばこの人は……。
その先を思案しようとした時、彼が口を開いた。
『時が来た、星の守護者。』
そのやはりどこかで聞いたことのあるような、懐かしい声は、その人の口からではなく、直接脳内に響くように発せられ、ズンと身の内に落ち着く。
彼がさらに口を開こうとしたところで、それに割って入るかのように、ピピピピピという、電子音が響いた。
そして、私の意識は覚醒を始めたのだった。
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