恋連鎖 | ナノ

「先生何するネ!!」
「へ、銀八先生…?」

振り返ってみれば銀八先生が不敵な笑みを浮かべてあたしを見ていた。さっきの今でどっきいいいんって音が鳴るくらい心臓が跳ねる。タイミングの良さは反則だ。

「な、何ですか…?」

髪の毛がみだれてしまうというのにも関わらず先生はがしがし頭を撫でる。好きだなあこの人。
すると先生はようやく手を離してそのまま白衣のポケットに突っ込むと
「学校終わったら国語資料室に来いよ、教科書忘れて行ったろ」と言った。

「なんだ…忘れてただけですか。良かった」
「金はいらねェからな。あ、それとも俺にプリン買ってくれたりしない?」
「買いません」
「……笑顔で即答とか先生傷つくよ…」

先生との話が一区切りついたところで、神楽ちゃんに腕を引かれる。
「もういいでショ。先生これから授業あるんじゃないアルか?」
「ったくやってらんねェよー新学期早々授業とか普通いらないだろうが」
「それ私達の台詞ですよ、先生」

なんというか、自分でも言っていたけれども本当に教師らしくない人。
人望とかそういうのはあるんだけれど、真面目に授業に取り組む姿勢はないみたいだ。今見る限りだとね。
なんで教師になろうとしたのか、きっと理由があるんだろうな…。少しだけ気になってみたり。

銀八先生はそのままヒラヒラと手をふって行ってしまった。

本当、新学期早々授業かぁ…まあ一応あたしたちは受験生となるものなんだ。勉強は早めからやっておくべきだね。

「じゃあ僕らも準備しないと」
「新学期最初の授業って何だったかしら」
「確か数学アル。モジャモジャが担任らしいアルヨ」

女子三人の輪の中で会話を聞くだけなんだけど、中心に入れてくれる事でひどく安心感があった。

「結ちゃんは大丈夫?分からないところがあったらいつでも聞いてちょうだい」

「うん、ありがとう!」

転校したてからいい友達ができてあたしは幸せだ




***






「アンタ、新学期一発目で授業当てられたってーのに随分と頭がいいんですねィ」


昼休みになって突然沖田君から誘われ、あたしと沖田君と…土方君と近藤さんと…えっと、山…そうだ山崎君とでお昼を食べています、なう。
なんだこの逆ハーレム状態。ドキドキする。

「何結にたかってるアルか野獣共!」

神楽ちゃんが加わって合計5人…いや6人になって一気ににぎやかに。
よかったぁー女の子がいると心強いよー。

机をくっつけてまるで小学校の学級給食みたいだ。
なんだか可愛いらしいな。

神楽ちゃんも席についたところで、パカッと弁当箱のふたを開けながら沖田君の質問に返事。
「数学は元々得意な方なの」
多分。

「マジデカ!じゃあ私に教えてヨ!」

どうやら神楽ちゃんは数学苦手な子らしい。人に教えると自分の理解力も上がるっていうし、あたしは迷わず「うんいいよー」と返事をした。喜ぶ神楽ちゃんを横目に、沖田君はハァっとため息をつく。

「おいおい結…そりゃいけない選択だねィ。コイツの頭の悪さはどれくらいか知ってから答えるべきだ」
「へ」

沖田君がヤレヤレと首を振って言うから、どんなもんですかと神楽ちゃんに尋ねたら

「全部」

と満面の笑顔が帰って来た。

「全部っていうと…?」
「掛け算って難しいアル」
「そこォ!!?」




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