恋連鎖 | ナノ

始業式は神楽ちゃんが言った通り動物の話というか校長先生のペット自慢でほとんど終わって、周りの人たちも大体近くの人と雑談をしていた。
これまた緩い学校だなーと思いつつも、校長先生のペット自慢以外はちゃんと聞くものだから、真面目なのかどうなのか良く分からない。要領がいいんだろうな。

神楽ちゃんとは、大体あたしについての話をしていた。
「どうしてこっちに来たの?」とか「前の学校ってどんなんだった?」という質問ばかりだったのだが、正直なところ、自分でも返答に困った。
仕方がないから「ちょっとディープな内容でね…」と誤魔化したら、神楽ちゃんはキラキラと目を輝かせて「おおおおお結は大人アル…!」と尊敬のまなざしを受けた。
騙しちゃったみたいで罪悪感は残ったけれども、上手くできてよかった!


「じゃあ結の好きなタイプってどんなんアルカ?」

始業式が終わって、神楽ちゃんは突発的に尋ねてきた。

「あら、私も気になるわね」
「…?」
「姉御ぉー!」


隣で歩いていたのはポニーテールで身長高めの美人さん。…美人さん!なんでこのクラスこんなに多いの!分かった、Z組って容姿が凄まじく素晴らしい人たちの集まりなのね!!
…と思ったら目の前をギャルギャルしたハムみたいな子が通り過ぎて行った。……まぁ人は見た目じゃないし。うんうん。

「初めまして、志村妙です。結ちゃんよね、よろしく」

「よろしく!…えっと、妙ちゃん?」
「仲良くしましょうね。それとこっちは…」

こっち?

妙ちゃんに隠れて見えていなかったのか、今度は小柄だけど美形な男の子みたいな子が姿を見せた。
もう容姿にはつっこまないよ。

少しだけ恥ずかしそうに顔を赤らめるけれど、その子は

「や、柳生…九兵衛…だ。よろしく」

と小さな声で言うのだ。ぐっと心をわしづかみにされて、思わず満面の笑みで「よろしくね!」と返事をすると、ビクッと体を震わせるのだが九兵衛さんは微笑を浮かべて「よろしく」と言い返してくれた。
あたしって結構女の子好きだなーと実感する。


「それでそれで?結ちゃんの好きな人って誰よ」
「好きな人になってる!?」
「いるアルカ!誰ネ、結の恋心をかっさらった男は誰ネ!しばき出してやらねェと気がすまないアルな…」
「なんでそんな大事になっちゃうの!」

そろそろ教室だと言う頃に、神楽ちゃんと妙ちゃんに詰め寄られて頭がグルグルしてくる。
好きな人、なんていないんだけどなぁ……


「………」



――――ふと

初めて銀八先生と会った時のシーンが写真のように思い出された。

いや、違う、あれはドキドキしてたけど……好きな人ではないと………あれ、違うのにまたドキドキしてない?……いやだから、



「いないよ!今は好きな人なんて…」



慌てて否定するも無駄に大きな声になってしまった。
どう反応が帰ってくるか、面倒くさくなったら困っちゃうんだけど…と思って振り返れないでいたら

「そーなんだーいないんだー」

と、頭をがしっと掴まれた。





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