恋連鎖 | ナノ

「あいつらの事は気にしなくていい。
それより園江さんは教科書などを買っておるか?」

何だか優しそうで真面目そうで誠実そうな長髪の男子。
右隣に平然と座る男子は、さっきの土方君や沖田君もかっこいいけど、また美形だなと思う。長髪の似合う男子っているんだなぁ…綺麗な髪の毛だなぁ…。


「あ、国語だけ無くて…」

「それじゃあ俺が先生に事情を言って聞いてみよう。」

「いっいい、いいですよ!ちゃんとお金持ってきてあとで聞きに行きますし…」

「何、案ずるでない。なんたって俺はこのクラスの学級委員長なのだからな」

「そうなの?」
 
「そうなる運命だから大丈夫だ。そもそも俺はこのクラス…いや、学校に革命を起こしたいのだ。別にあの保健医ではないが、生ぬるいこの学校生活にも終止符を打ち、もっと俺のような人間にふさわしい学校にしたくてだな―――…」

運命!?しかもドヤ顔だこの人うわああ。
口調と言い、オーラと言い…何かイメージと違くない?もっと真面目な雰囲気だと思うんだけど、その後もペラペラと武勇伝を語りだす。なのに出てきた単語は「宇宙が」とか「改革が」とか言い出して支離滅裂訳分からん。
こういうタイプは、本人は真面目なんだろうけど…なんだろう、アホなオーラが漂ってくる感じ。
やっぱりイケメンは一筋縄じゃないんだろうな、と思う。……………それに


向こう側の変な生き物が気になる。


「とにかく決まりだ。俺は桂小太郎と言う。よろしく」

「ハイ、ありがとうございます…。(ん?桂?)」

「それとこいつは俺の相棒の」
『エリザベスです。何か困ったらどーぞ』

―――プ、プラカードで会話した!!!!

対応に困ったためあたしはとりあえずお辞儀をしておく。
なんだか嫌われたら一環の終わりだと思った。なーんでだろ。




「だぁぁぁああああもう!! お前らうるっさい!新学期だぞコラ、マジでなんなの…さっちゃん」

突然叫びだした先生の方を見ると、彼は右下に居る先ほどの紫髪の女子せいとを睨みつけた。それはもう、その姿を始めてみたら多分、イメージ通り「怖い先生だー」って思えただろう憎悪の籠った視線だ。

女子生徒相手に情けない…と少し思ったのだが

「キャアア!そんな視線も最高!もっと、もっと見下しなさいよ、蔑みなさいよ!!そうやって私をいじめるのが楽しいならやればいいのよ!! 私は先生のためなら何でもするわ!もっともっとその眼で私を見てェェエエエ!!!」

えええええええええええええ

「沖田君縄」
「へい」

なんで持ってるの

「縄!?そういうこと…荒縄プレイね、流石先生!クラスメートの前で堂々と…キャァァァアア!!!!」

と、美人なのに勿体無い発言をした女子生徒はぐるぐると縄で縛られて、挙句の果てに口を何故かそこにあった包帯でぐるぐると縛られて「むーむー!!」と喜びながら最終的に銀八先生によって用具室に放りこまれた。
しばらくガタガタとうるさかったが、次第にシーンと静まった。

「お、恐ろし…」

これが、3年Z組の日常なのだろうか…。




「えーじゃあとりあえず始業式なんだけど、あと10分したら始るんだわ。ということでテメェら急いで体育館な」

ええええええええええええええ

それだけ告げれば先生はさっさと教室を出ていく。それを境に、クラスメートもだるそうに席を立って行った。


開いた口がふさがらない。どうしようこのクラス上級者向けだよ。あたしじゃ対応できない。うわあ、場所知らないから皆についていかないと!


「何座り込んでるネ。さっさと行くアルヨ」
「へ」

人がいなくなった教室で、急がないとと思った時、可愛らしい女の子の声が頭の上から振ってきた。
見てみれば、くりくりっとまるい瞳にピンクの髪の毛をした可愛い可愛い女の子で…こんな子もいたんだ、とドキドキ心臓が鳴った。


「私神楽言うアル。確か…結、アルか?」
「うん。園江結。よろしくね!」

手を差し伸べる神楽ちゃんの手を握り返す。
するとグイっと強い力で引っ張られて立ちあがらされた、というのが正しい。何だ今の力、この子のどこからでてきたの!?

「ほら、皆待ってるネ。あの校長の話しは大体動物のことアル。だからずっと話しようヨ。私もっと結の事知りたいネ!」

「……!」

積極的にからんでくる神楽ちゃんがんとも可愛らしくて、それ以上に嬉しい。
人に好意を持たれて接してもらえると、向こうからの笑顔や自分の気持ちが暖かく感じる。嬉しい。不安がどっかに行ってしまったようだ。

手をつないだまま引かれる様にして教室を出る。ちょっと駆け足で、あたしが「そうだね、たくさん話しよう」と返せば神楽ちゃんはまたニッコリと笑った。







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