恋連鎖 | ナノ
「で、今日はどうしたんだ?」
少しも経たないうちにいつもの保健室に戻ったこの教室。
ただし、銀八の右頬は赤く腫れ上がっていた。
―――…そういえば、何で運ばれたんだっけ?
「そ、そういえばさ、結ちゃん貧血的なので倒れたんだよ。女の子の日だったりする?」
「違います」
「銀八……こいつが生理でもヤろうとしたのか?」
またもや冷たい眼差しが銀八先生に注がれる。
高杉先生がため息をつけば
「まぁ、そうなると大方疲労だろ。
お前転校してきたんだろ? それに試験も近かったから徹夜とか、他にあるとすれば…恋愛とか?」
う゛!!!
―――思いっきり図星なんですけど…。高杉先生ってエスパーだったりするのかな。
「別に心が読めるわけじゃねェけどな」
「絶対に読めてますよね?」
高杉先生は嘲笑うかのようにクツクツとのどを鳴らした。
「それにしても随分遅い時間までいたもんだ。オイ銀八。コイツ何時間目に運んできたんだ? もう4時半だぞ」
「え!!!? あれ、授業は…!?」
結あ慌てて確認すると、高杉が言っていた時間で、よく見れば保健室に入ってくる光はどこかオレンジがかっていた。
「とっくに終わったよ。そりゃもう結ちゃんはぐっすり寝てたからねェ。可愛かったよ?」
「結ちょっとどけ。今銀八の息の根止めてやるから」
「あ、ごめんなさい。調子乗りました」
銀八先生の言葉はいつも何かいちいち恥ずかしいなぁ…。
落ち着いたのか、高杉先生は何やら机の上にある鞄にいろいろ詰め込むと、それをあたしに渡した。
「とにかく遅ェから帰れ。またぶっ倒れるんじゃねーぞ」
「あ、ありがとうございます…」
あたしの鞄だったのか。
それを受け取って、小さく一礼をする。
……こうして接していると、高杉先生ってそこまでキケンな人ではなさそうだと思えた。
それに、全然怖くない。
何でだろう……むしろ安心するような…。
やっぱり第一印象は信じないのが身のためだな、と改めて感じた。