恋連鎖 | ナノ




「じゃ、早速――……」

「…はい?」

シュルシュル…っとリボンを解く音が聞こえたと思うと、いつの間にか銀八の手が自分の太もも辺りにある事に気づく。


「……あの、一応ここ…保健室なんで……」

「あー…多分鍵掛けたから大丈夫じゃね?」

「そういう問題では無いと思いますが…ひゃっ!」



静かな保健室に布の擦れる音が響く。

恥ずかしすぎて結はギュッと目をつぶった。
しかし、そのせいかますます感覚が鋭くなっていくようで…

「んっ……」

「声、出しちゃっていいからね?」

耳に低い声で囁かれれば、またビクッとなる。


―――まだ、心の準備が……!!

駄目ですっ!!!
そう叫ぼうとした時だった。





「付き合ってすぐヤるって……ガキかテメェは」





………あれ?


「あ、あれぇ…」

「人様の教室で何やってんだ変態」


恐ろしい鬼のような形相でそこに仁王立ちする高杉先生。

「…銀八先生、鍵掛けてないじゃないですか」

「ごめんなさい」

そう謝った先生の言葉を無視して、あたしはパシンッと先生の頭を叩いた。

「ったく…戻ってきたらこの有様ってなァー。大丈夫か結、犯されてねェよな?」

「……」

というか、この人も随分と余裕なものだ、と結は考える。

仮にも女子。
その上服装が少し乱れて結構艶やかな姿になっているというのに、目をそらすどころか全く気にしていないのだ。

―――まぁ、高杉先生なら見飽きてたりするのかなー……。
結は、ジッと高杉を見ながらそう考える。


しばらくして、叩かれた頭を抑えながら、銀八はようやく高杉の方に目を向けた。



「手を出すな、とか言ってたがー…お前のほうが早ェじゃねェか。」

高杉は蔑んだ目で銀八を睨み付ける。

「仕方ないだろー? 結ちゃんがかわいかったんだし!」
しかし銀八はというと何だか吹っ切れたようだった。

「言い訳にもなってねェよ。それでも国語教師か?」
「いいんですぅー。俺が得意なのはどっちかってーと古文だから」

「あの、もういいですから…」

「「よくねェ!!」」

「……すみません」


折角二人を止めようとした結だったが、あっさりと除け者にされたのだった。

―――入る余地がないなぁ…。




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