恋連鎖 | ナノ


なんだか自分からは何も言っていないのにこうされているというのも、ちょっと違和感あるけど…
ギューッと抱きしめられて、何故かあたしは、今までこうされたかったんだ、という気持ちが込みあがってきた。

……何でだろう。



「俺、結の事…好きだ」

「…!!」


先生の腕の力が少し強まる。


「何だろうな…今夢見てるみてぇ」

「こ、こっちの…セリフです……」


思わずそう口走ってしまって自分の中の体温が上がっていくような感じになる。

それを聞いて、先生は小さく笑った。

「わ、笑わないでくださいよ…! っていうかいつまでこうしてるんですか…!?」

「悪い悪い」

お互いちょっとだけ離れて見詰め合うように向かい合う形になる。
あたしは恥ずかしくて俯いてしまった。


「あれ、俺何か悪いことしちゃった?」

「いや…ただ……信じられないだけです」

「俺は、やっとって感じかな」


―――そんなにも前からなのかな……最初からって事…?


「…先生」
「何?」

「本当だって証明できますか?」



今度は少しだけ意地悪そうに言ってやる。

すると先生は予想していたのと反対に余裕の笑みを浮かべると

「上等」

と一言呟けば…

「……!」

あたしの唇に自分の唇を重ねた。



「んっ、ちょっ、先生……ふぁっ」



前とは全然違う、深いキス。
角度を変えてもっと深くなる口付けに、あたしは力を失いそうになる。

「…っ!……んん…」
「……っは……。―――なァ、先生じゃ俺って分かんねぇから名前で呼んでくれない?」


やっとの事で開放されたと思えば、先生はそんな事を言ってきた。

今の先生は今まで見ていた先生と違って、どこか妖艶だ。無駄に心臓がドキドキと騒ぐ。


「む、無理です…。呼びにくいですもん…。ぱちって」
「何だそれ。じゃあ呼びやすいように考えてよ」

「そういう意味じゃ…」


―――駄目だ、今の先生はすごく楽しんでるに違いない。

そう感じ取ると、あたしは渋々思いついた名前を言ってみる。

「……銀ちゃん?」

仮にも年上なのに、ちゃん付けで呼ぶには抵抗がある。

ちなみにコレは、神楽ちゃんが前に
『それで銀ちゃんが―――……。あ、つい本編の呼び方にしてしまったヨ』
と言っていた事を思い出して、口にしてみただけ。

対する先生は嬉しそうに微笑むと
「じゃあ次から二人きりになったらそう呼べよ?」
と言ったのだった。



「そ、そうですね…銀ちゃんなら…呼びやすいかも」

「うん。その方がいいって」

「……?」



結はふと銀八の方に目を向ける。

今までドキドキしすぎていて気づいていなかったが、彼の今の顔を見ると誰もが思うだろう。

『とても嬉しそうだ』と


「何かいい事でもありました?」

「いや、懐かしいなって思っただけだ」
「???」

―――んで、もっとよく考えたら、ここに来る前にも意味深なこと言ってたような…。


でも、何だかんだで嬉しそうな銀八を見て、結も安心するのだった。





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