それはそれは清々しい朝だった。いつもより1時間早くに目が覚めたなまえは顔を洗い歯磨きを済ませると屋敷の庭に出た。早朝の空には少ない雲がちらほら浮かび、青々とした木々がそこに向かって精一杯伸びをしているようだった。朝露を乗せた綺麗な芝を踏みしめ、なまえは、木々にならって思い切り伸びをした。


「うおおおおおお!!!」


「るせぇ!」「っせーよ!」「煩ぇぞぉ!!」庭に面した三つの部屋からナイフやペン立てや酒瓶を投げつけられた。
ぐぬぬ、と思ったのも一瞬。
少し懐かしい日常を振り返って微笑む。

「おはよう諸君!良い朝だネ!」

「テメェは朝から元気過ぎんだぁ、もう少し寝かせろぉ!!」
「ザンザスー!おっはよー!!」
「う゛おぉい!!聞けぇ!」

ザンザスの部屋のカーテンがシャッとしまった。
あれは二度寝に入る体勢だ。
彼の額に浮かんでいるであろう青筋を想定してクスクス笑うなまえに向かって、1、2、3、4、と立て続けにナイフが投げられた。

「コラベル!」
「しししっ、見ろよ。なまえのせいで王子目覚めちゃったんだけど」
「いや見えねーし」
「ぱっちりだろーが」
「見えねーって」
「いいから王子と遊べよ。鬼ごっこする?」
「いいよ!」
「っし」

窓から飛び下りてきたベルはボーダーラインのパジャマを着ている。かわいい。

「それあたしが去年あげたやつじゃね?」
「忘れた。テキトーにあったの着てんだよ」
「フーン…素直じゃないの」
「しししっ、生意気」

「テメェ等ぁ!朝っぱらから騒いでんじゃねェ!近所迷惑だろぉが!!」

「「スクアーロが一番煩い」」
「んだとぉ!!掻っ捌く!」

上下黒のスエウェットなスクアーロが飛び出してきた。
ベルもスクアーロも裸足だけどまったくと言っていい程気にしてない。

「くらえっ、スコットゥロ・デ・ベソクソアーロ!」
そばにあった石を投げつけた。
スクアーロの顔が一瞬にして般若になる。

「う゛ぉお゛おぉい!!!三枚に下ろしてやるぜぇ……!」
「デ・ベソクソアーロ!」

ぎゃはぎゃは笑うベル。
ますます怒るスクアーロ。

「俺はデベソじゃねぇぇえ!!!」「るせぇカス鮫!!」「――ッ」

ザンザスの部屋の窓から剛速球で飛んできたグラスがスクアーロの後頭部で砕け、スクアーロは呆気なく再び眠りについた。ベルと私は鬼ごっこ続行。暗殺部隊の朝はそれはそれは賑やかである。

準備体操

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